源経基

源経基：清和[[源氏]]の祖、激動の時代を駆け抜けた武将

源経基（みなもとのつねもと）は、平安時代中期に活躍した皇族であり、武将です。清和[[源氏]]の初代として知られ、その後の武士の歴史に大きな影響を与えました。

生い立ちと出自

経基は、清和天皇の皇子である貞純親王の子として生まれました。母は右大臣・源能有の娘とされています。幼少期には「六孫王」と呼ばれていたという説もありますが、当時の文献には確認されていません。住居は六宮、または八条御所と呼ばれていました。彼の出自については、後世に陽成天皇の皇子であるという説も唱えられましたが、現在では清和天皇の血を引くとする説が有力です。

武蔵介としての赴任と平将門の乱

承平8年（938年）、経基は武蔵介として武蔵国に赴任します。赴任早々、武蔵権守の興世王と共に検注（土地の調査）を実施しようとしましたが、現地の豪族・武蔵武芝がこれを拒否。武芝は「正任の国司が赴任するまでは検注は行わない」という慣例を主張しました。これに対し、経基は武力で武芝の郡家を襲撃し、略奪を行います。

この事件を知った平将門が武芝を助けるために兵を率いて駆けつけると、経基は妻子を連れて武装し、比企郡の狭服山に立て籠もります。その後、興世王は山を下りて将門らと和解しますが、経基は不服として山に留まり続けます。しかし、府中での和解成立後、武芝の兵が経基の陣営を包囲したことから、経基は将門らに殺害されると思い込み、京へ逃げ帰ります。

京に戻った経基は、将門らが謀反を企てていると朝廷に讒言しますが、将門らが事実無根であると証明したため、経基は逆に拘禁されてしまいます。しかし、天慶2年（939年）に将門が常陸国府を占領し、坂東諸国で反乱を起こすと、経基の以前の讒言が結果的に現実となり、彼は罪を許され、従五位下に叙せられました。さらに、征東大将軍・藤原忠文の副将として将門の乱平定に派遣されますが、将門はすでに討伐されており、経基は京へ帰還します。

藤原純友の乱と晩年

天慶4年（941年）には、追捕凶賊使として藤原純友の乱の鎮圧に派遣されますが、これもすでに鎮圧済みで、純友の家来を捕らえるにとどまりました。その後、武蔵、信濃、筑前、但馬、伊予の国司を歴任し、最終的には鎮守府将軍にまで上り詰めます。

晩年には臣籍降下を命じられたことに憤慨していたと伝えられていますが、その出自については皇族であったかどうかも疑問視されています。同時代の日記には源姓を名乗っていた記述があり、皇族であった時期があったのか議論が分かれています。

文化人としての側面

経基は、勅撰歌人としても知られ、『拾遺和歌集』に2首の歌が収録されています。また、嫡男の源満仲が建立したとされる六孫王神社（京都市南区）に祀られており、元禄14年（1701年）には正一位が贈られています。

生没年について

経基の正確な生没年は不明です。『尊卑分脈』では応和元年（961年）に45歳で亡くなったとされており、延喜17年（917年）生まれと推測されていますが、『勅撰作者部類』では天徳2年（958年）に45歳で亡くなったとされており、延喜14年（914年）生まれとされています。また、『系図纂要』では寛平9年（897年）生まれとする説もあり、諸説あります。

源経基の系譜

父：貞純親王
母：源柄子（源能有の娘）
妻：橘繁古女、または藤原敏有女
主な男子：源満仲、源満政、源満季、源満実、源満快、源満生、源満重、源満頼

陽成天皇孫説と反証

一時期、経基が陽成天皇の孫であるという説が唱えられましたが、その根拠となった資料が後世の偽作であることが判明しました。現在では、経基は清和天皇の血を引くとする説が有力です。同時代の記録にも、経基とその子孫が「貞観御後」、つまり清和天皇の末裔であると認識されていたことが示されています。

逸話

承平2年（932年）、宮中で鹿が暴れた際、経基が一射で射止めたという逸話が残されています。この出来事は、後に起こる社会不安の予兆であるとも語られています。


源経基は、皇族から武士へと変遷する時代の過渡期に生きた人物であり、その生涯は、当時の社会情勢と深く結びついています。彼の残した足跡は、武士の時代の幕開けを象徴するものとして、後世に語り継がれています。

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