青野原演習場

青野原演習場の概要

青野原演習場（あおのはらえんしゅうじょう）は、兵庫県の小野市、加西市、加東市にまたがる広大な陸上自衛隊の演習場です。一般的には青野ヶ原（あおのがはら）演習場と呼ばれています。

歴史的背景

この演習場の起源は、1889年（明治22年）に設立された旧陸軍の軍馬育成場にまで遡ります。1900年（明治33年）、陸軍省は830町歩（約830ヘクタール）の土地を取得し、正式に演習場を設立しました。1907年（明治40年）には姫路に本部を持つ第10師団の高岡演習場として位置づけられ、以降の数年で廠舎が建設されましたが、陸軍部隊が常駐するようになったのは1940年（昭和15年）からです。この間、1915年（大正4年）には、第一次世界大戦中に捕虜収容所が設置され、ドイツとオーストリア=ハンガリーの捕虜が管理されました。

1945年に第二次世界大戦が終結すると、1946年に米軍によって接収され、1951年からは米軍との共同利用が開始されました。その後、1956年に米軍から払い下げられ、1957年から本格的に自衛隊の演習場としての業務が始まりました。1960年まで段階的に用地が取得され、1964年にも新たな土地が追加されるなど、演習場の拡張が続きました。1976年8月には青野原駐屯地が新設され、以降はこの組織が周辺の管理を行っています。

演習場の地形と現状

青野原台は、古生層から成る南北7キロメートル、東西3キロメートルの広い平野で、文政年間に開墾が行われました。土壌は石を多く含む赤土であり、水の供給が難しいため、農業にはあまり適していませんでした。明治時代には一部が集落として発展しましたが、その後、陸軍の演習場に転用されました。

現在、演習場内には多くの溜池が点在しており、南端には廠舎エリアと宿営地が配置され、北端には青野原駐屯地があります。また、演習場の北部には高圧送電用の鉄塔が設置されています。自衛隊が管理する青野原演習場は、南北に約4.8キロメートル、東西に約3.5キロメートルの範囲をカバーしていますが、長射程の直接照準火器や間接照準火器の射場は設けられていません。

周囲には田畑が広がり、集落が点在しています。また、古墳時代に築かれた多くの古墳や、白鳳文化から奈良時代にかけての寺院も現存しており、歴史的なスポットとなっています。演習場の西側を通る国道372号は、集落や工業団地を結ぶ重要な道路となっています。

さらに、近くを走る播丹鉄道（現在のJR西日本加古川線）は、軍需工場や飛行場、さらには青野原演習場への戦車移送のために1943年に国有化され、強化されました。このように、青野原演習場はただの軍事施設ではなく、地域の歴史や文化とも深く結びついた存在となっています。

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