静内郡

静内郡：北海道日高地方の歴史を刻んだ郡

静内郡は、かつて北海道日高地方に存在した郡です。現在の北海道新ひだか町の一部をその領域としていました。静内という地名はアイヌ語に由来し、諸説ありますが「曾祖母の沢」「祖母の沢」「ぶどうづるの沢」といった解釈があります。漢字表記も志津内、室内など、時代や資料によって様々でした。

静内郡の歴史：交易と交通の要衝

静内地方の歴史は古く、鎌倉時代から室町時代にかけては本州との交易が行われていたと考えられています。江戸時代に入ると、松前藩による商場知行制、後に場所請負制のもと、シツナイ場所が現在の新ひだか町春立地区元静内に置かれました。

この地は交通の要衝でもありました。渡島国の箱館（現在の函館）から道東や千島方面に至る道（現在の国道235号の前身）が静内を通っていました。

江戸時代初期の『松前年々記』には、1633年（寛永10年）に静内での金山の見立て、1660年（万治3年）の静内川での異魚の出現、そして1669年（寛文9年）にはシャクシャインの戦いの戦端が開かれたことなどが記録されています。

1700年（元禄13年）成立の『松前島郷帳』にも静内は「しぶちやり」として記載されています。江戸時代後期には幕府の天領となり、官馬が置かれ、警固のために仙台藩が配置される時期もありました。1859年（安政6年）には会所が東静内に移設されました。

明治時代以降：町村制施行と消滅

戊辰戦争（箱館戦争）後の1869年（明治2年）、大宝律令の国郡里制を踏襲して静内郡が設置されました。その後、開拓使、北海道庁の管轄下に置かれ、明治9年（1876年）には大区小区制の改編が行われています。

明治12年（1879年）の郡区町村編制法施行により、行政区画としての静内郡が発足。その後、勇払郡外四郡役所、浦河郡外六郡役所の管轄を経て、明治30年（1897年）には郡役所が廃止され、浦河支庁（のちの日高支庁）の管轄となりました。

明治42年（1909年）には北海道二級町村制により静内村が発足。大正13年（1924年）には一級町村制を施行し、昭和6年（1931年）には町制を施行して静内町となりました。

昭和18年（1943年）の北海道一・二級町村制廃止、昭和22年（1947年）の地方自治法施行を経て、平成18年（2006年）3月31日、静内町は三石郡三石町と合併して日高郡新ひだか町となり、静内郡は消滅しました。静内郡の歴史は、静内町、そして新ひだか町の一部として、現在も受け継がれています。

関連事項

松前藩
箱館奉行
商場知行制
場所請負制
* 北海道の分領支配

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