静岡大火

静岡大火の詳細

1940年1月15日、静岡市は未曾有の大火に見舞われました。この火災は、折からの強風によって瞬く間に燃え広がり、市街地の大部分を焼き尽くす大惨事となりました。

火災発生の経緯

火災は、1月15日正午過ぎ、静岡市新富町一丁目の住宅で発生しました。当時、静岡市には北西の強風が吹いており、風速は9m/hを超えていました。住宅の台所でかまどの火を使っていたところ、煙突から出た火の粉が隣家の厩舎の屋根に燃え移ったのが火災の始まりでした。火はまたたく間に燃え広がり、隣接する市立三番町小学校にも延焼、校舎の一部を焼失しました。

小学校の火災が鎮火したかに見えましたが、消しきれなかった火の粉が強風にあおられ、南東方向に約650m離れた上大工町に飛び火しました。そこからさらに、人宿町や下石町へと燃え広がり、風速約20mに達する強風にあおられて、火勢は増す一方でした。消防隊の消火活動もむなしく、炎は市の繁華街の大部分を焼き払い、静岡駅を越えて南部地域にまで燃え広がりました。

翌16日午前3時30分頃、ようやく鎮火しましたが、その被害は甚大でした。

罹災状況

焼失した町は、全町焼失が47町、一部焼失が38町、計85町に及びました。焼失した家屋は、全焼が5,229戸、半焼が46戸、合計5,275戸に達し、罹災者は27,518名にのぼりました。この大火により、1名が亡くなり、重傷者8名、軽傷者780名という多くの犠牲者を出しました。

焼失した主な施設

この大火で、多くの公共機関や商業施設、宗教施設が焼失しました。以下に主なものを記載します。

公共機関：鉄道省静岡駅、静岡電気鉄道鷹匠町駅（現在の静岡鉄道新静岡駅）、静岡郵便局、静岡電話交換所、静岡運輸事務所
神社：別雷神社、小梳神社、津島神社など計5社
寺院：宝台院、教覚寺、華陽院、法伝寺など計23寺、寺町一～四丁目、西寺町にあった寺院群11寺
旅館：浮月楼、大東館など計54軒
商店・企業：松坂屋静岡店、田中屋百貨店、静岡瓦斯など
学校：三番町小学校、森下小学校、伝馬町小学校、静岡女子商業学校など
* その他：映画館9館、料理店14店、工場54棟

幸いにも、追手町にあった官庁街（静岡県庁舎、静岡市役所、日赤病院、旧御用邸など）や静岡三十五銀行本店、静岡電気鉄道は延焼を免れました。

大火の教訓

静岡大火は、都市における火災の恐ろしさを改めて認識させ、その後の防災対策に大きな影響を与えました。強風時の火災の危険性や、初期消火の重要性、そして都市の不燃化の必要性などが、この大火から得られた教訓として挙げられます。この大火の経験は、後の都市計画や防災対策に活かされることとなりました。

この大火の記録は、静岡市の歴史において重要な出来事として、後世に語り継がれています。

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