非国教徒 (イギリス)

イギリスの非国教徒：国教会に属さないプロテスタントたちの歴史と多様な信仰

イギリスにおける「非国教徒（Nonconformists）」とは、イングランド国教会に属さないプロテスタントの総称です。1559年の「統一化法」によって国教会が確立されると、その法令に反対し宣誓を拒否した聖職者や信徒たちが、非国教徒と呼ばれるようになりました。この呼称は、国教会の教義や慣習に従わない、異端とされた人々を包括的に示す言葉として広く用いられてきました。

「Nonconformist」は「共通の基準、慣習、決まりごと、伝統、法律を拒否する者」を意味しますが、イギリスの歴史的文脈においては、国教会に属さないプロテスタントを指す特別な意味合いを持っています。一方、「English Dissenters」も非国教徒を指す言葉ですが、「Nonconformist」よりも後に使われ始めました。どちらも、国教会の権威に挑戦し、独自の信仰を貫こうとした人々の姿を反映しています。

非国教徒の隆盛と迫害：名誉革命から審査律廃止まで

非国教徒の歴史は、常に権力との緊張関係の中で展開されてきました。名誉革命後のイギリスにおいても、非国教徒は公職への道を閉ざされ、1828年に審査律が廃止されるまで、様々な差別と迫害に苦しめられました。この厳しい状況下においても、彼らは独自の教会や学校を設立し、信仰の自由と社会改革を求めて活動を続けました。

多様な宗派と著名な人物たち

非国教徒は、単一の集団ではなく、多様な宗派や信条を持つ人々の集まりでした。1660年以前には、再洗礼派、ジャコバイト、ピューリタンなどが非国教徒に含まれていました。再洗礼派は、成人による再洗礼を主張するグループで、その一部は現在も盛んに活動しています。ジャコバイトは、ジェームズ2世とその子孫への忠誠を誓った人々であり、宗教的理由と政治的理由が複雑に絡み合った集団でした。ピューリタンは、国教会の儀式や組織を改革しようとした運動であり、その中に様々なグループが含まれていました。

近現代においても、バプテスト教会、長老派教会、メソジスト、キリスト友会（クエーカー）、救世軍など、多くのプロテスタント系宗派が非国教徒として歴史を刻んできました。これらの宗派は、それぞれ独自の信条や組織形態を持ちながらも、共通して国教会の支配に抵抗し、信仰の自由を求めてきました。

非国教徒の中には、ダニエル・デフォー、ジョージ・フォックス、ジョゼフ・プリーストリー、ジョン・ウェスレーといった著名な人物も数多く含まれています。彼らは、作家、宗教指導者、科学者など、様々な分野で活躍し、イギリス社会に大きな影響を与えました。

信仰の自由への貢献

非国教徒の歴史は、宗教の自由と寛容という現代社会の重要な価値観を理解する上で、欠かせないものです。彼らの苦闘と抵抗は、宗教的多様性を受け入れる社会の礎を築き、後の信教の自由獲得に大きく貢献しました。 非国教徒の多様な信仰と活動は、イギリスの歴史と文化に豊かな多様性をもたらし、現代社会にも深い影響を与え続けています。

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