鞍山 (北秋田市)

鞍山（くらやま）

鞍山は、秋田県北秋田市に位置する標高254.2mの山です。山頂には鷹巣デジタル中継局が設置されており、地域の情報インフラを支える重要な役割を果たしています。また、山頂付近には特徴的な「舞台石」と呼ばれる巨岩があり、古くから地域の人々の信仰の対象となってきました。

鷹巣デジタル中継局

鞍山の山頂には、鷹巣デジタル中継局が設置されています。この中継局は、北秋田市、大館市、能代市の一部地域に向けて、地上デジタルテレビ放送の電波を送信しています。具体的には、鷹巣、合川、米内沢、早口、二ツ井町天神地区、大館能代空港などの各地区がサービスエリアとなっています。2007年9月からは秋田朝日放送のアナログテレビ中継局舎を使用して、デジタルテレビ放送の電波を供給しています。

かつては秋田テレビ（AKT）のアナログUHF電波の中継局も存在し、1969年10月の開局から、大曲、能代、大館の各中継局とともに電波を発信していました。アナログ放送は2011年7月24日に終了し、現在はデジタル中継局がその役割を引き継いでいます。

鞍山の東南東約2.6kmに位置する摩当山（標高444.4m）に鷹巣中継局があるとされることもありますが、実際には鞍山に中継局が設置されています。

鞍山風穴

鞍山の南麓、標高100m～150mの地点には、鞍山風穴があります。この風穴周辺は、1981年3月14日に鞍山風穴自然環境保全地域として指定され、保護されています。保全地域の総面積は6.93haで、風穴現象が見られる特別地区は0.65haです。

風穴周辺は、低山帯に位置しながらも、冷涼な気候を好む亜高山植物が自生する特異な環境です。オオタカネバラ、ヤナギラン、ハシドイ、ベニバナイチヤクソウ、ミヤマスミレ、タチハイゴケ、コキンバイ、イワデンダ、ヌカボシソウ、ミヤマワラビ、エゾタツナミソウ、コメガヤなど、多様な植物が観察できます。これらの植物群落を保護するため、自然環境保全地域に指定されました。

風穴上部の斜面は、アカマツと広葉樹が混生する森林地帯となっています。中腹には石英粗面岩の母岩が点在し、そこから崩壊した流紋岩が堆積しています。岩の隙間からは冷たい風が吹き出し、地表温度は年間を通して10℃程度に保たれています。大館市の長走風穴に似た環境ですが、規模はやや小さくなっています。

地元住民の間では古くから知られており、『栄郷土誌』には「倉長根の雨池」として記録されています。鬼が人を食べて骨を捨てた場所であるという伝説や、ヤナギランの蒴果の白毛を葬式に用いる死屍花に見立てた伝説も残されています。また、凹地は「血の池」と呼ばれ、恐れられていたそうです。かつて鬼がこの地に住み、墓の供え物であるハマナスの実を風穴に持ち込んで食べたところ、その種が芽を出して現在のオオタカネバラになったという昔話も伝えられています。オオタカネバラはハマナスの花に似ており、かつては鬼の顔をした巨岩もあったと言われています。

風穴から吹き出す冷風は、かつて地元の人々が飲み物を冷やすために利用していました。

その他の情報

2016年10月22日、鞍山の南の沢に鷹巣大館道路が開通しました。
能代市二ツ井町にも同名の「鞍山」が存在します。

参考文献
* 鞍山風穴案内板

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