韓国のフライドチキン

韓国のフライドチキン：国民食としての歴史と進化

韓国で「チキン」といえば、フライドチキンを指します。カリッとした衣とジューシーな鶏肉は、国民的な人気を誇り、その歴史、種類、そして社会への影響は多岐に渡ります。

歴史：高麗時代から現代へ

鶏肉の揚げ物は、なんと高麗時代（14世紀）から存在したと推定されています。初期の調理法は、油でソテーするものでした。しかし、現代的なフライドチキンが登場したのは1970年代。食用油の普及と、ソウルの明洞栄養センターによる丸鶏の販売が契機となり、爆発的な人気に火が付きました。1977年には最初のフランチャイズ店「リムスチキン」が誕生。その後、1982年には甘辛いヤンニョムチキンの開発、1984年にはケンタッキーフライドチキンの進出など、様々な出来事が韓国のフライドチキン文化を形成していきました。

1990年代後半のアジア通貨危機は、失業した人々がフライドチキン店を開業するきっかけとなり、市場を更に拡大。近年では、韓国の大手チェーンが海外進出を加速させています。2013年には2万店以上、2017年には3万6千店と、その数は急増し、韓国で消費される鶏肉の約3分の1がフライドチキンとして消費されるほど、国民食としての地位を確立しています。COVID-19パンデミックにおいても、一部チェーンは店舗数を増やし続けました。近年は市場飽和による競争激化から、廃業に追い込まれる店舗も多く社会問題となっています。

種類：多様な味とスタイル

韓国のフライドチキンは、その種類も豊富です。

味付け別:

フライドゥチキン（후라이드 치킨）: シンプルな塩味で、衣のカリカリとした食感が特徴です。
ヤンニョムチキン（양념 치킨）: コチュジャンベースの甘辛いソースが食欲をそそります。
バンバン（반반）: フライドゥチキンとヤンニョムチキンのハーフ＆ハーフ。
カンジャンチキン（간장 치킨）: 醤油ベースの甘辛い味付け。
パダク（파닭）: 刻んだネギをたっぷり乗せたチキン。
ハニーチキン（허니 치킨）: ハチミツを使った甘みのあるチキン。

見た目別:

トンダク（통닭）: 丸ごと揚げたチキン。
スンサルチキン（순살 치킨）: 骨なしチキン。

代表的なブランド

韓国には、数多くのフライドチキンチェーンが存在します。BBQチキン、ボンチョンチキン、キョチョン、ネネチキン、ペリカナチキンなどは、国内外で高い人気を誇る代表的なブランドです。

チキンとビール：チメク文化

フライドチキンとビールの組み合わせは、「チメク」と呼ばれ、韓国の食文化に欠かせない存在です。カリッとしたチキンとキンキンに冷えたビールの相性は抜群で、友人や家族との食事、また一人で楽しむ際にも最適です。

まとめ

韓国のフライドチキンは、その歴史、多様な種類、そして国民食としての地位を確立した背景から、韓国文化を深く理解する上で欠かせない要素となっています。その人気は、国内にとどまらず、世界へと広がり続けています。今後、韓国のフライドチキン市場がどのように発展していくのか、注目が集まります。

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