韓国鉄道セマウル号形気動車

韓国鉄道セマウル号形気動車について

韓国の鉄道において重要な役割を果たしたセマウル号形気動車は、1987年から1994年の間に韓国鉄道庁、後の韓国鉄道公社（KORAIL）によって製造された気動車群です。これらの車両は、韓国の優等列車であるセマウル号に用いられ、別名DHC（Diesel Hydraulic Car）やPP動車とも呼ばれていました。特に1988年のソウルオリンピックを前提に、韓国の輸送力を強化するために新たに導入された車両として注目されます。

概要と歴史

セマウル号の起源は1969年に登場した観光号に遡ります。当初、観光号は機関車が牽引するスタイルでしたが、1980年には201系気動車が導入されました。しかし、この編成は数年の後にムグンファ号に転用されてしまいました。そこで、1988年のソウルオリンピックの決定を受けた韓国鉄道庁は再び気動車の導入を決定しました。

セマウル号形気動車は動力集中式の設計がされており、両端に位置する先頭車両にはMTU製のエンジンが搭載されています。また中間車は動力を持たない付随車です。制御装置にはフォイト製の液体式変速機が用いられ、車体は耐久性の高いステンレス製で、多くの車両は2＋2列配置の回転リクライニング式クロスシートを特徴としています。

この気動車は時期や用途に応じて、以下の3つの系列に分けられます：

• - 101系: 最初の形式で、1987年から1988年半ばまで製造。6両編成が基本で、元々の形式名は211系。
• - 111系: 1988年から1994年にかけて製造され、8両編成を基本。出力が増強され、全室特室車や食堂車も設定されました。元の名称は231系。
• - 251系: 1992年から1994年の間に製造された全室特室編成。出力は111系と同等ですが、1995年時点では先頭車が一般室とされ、他形式との混用が行われました。

車両の種類と運用

セマウル号形気動車は以下のような主要な車両によって構成されています。

• - PMC: エンジンを搭載した先頭車両。日本の気動車における「キハ」や「キロ」に相当します。101系は前面窓が小さく、流線型デザインも異なる特徴があります。
• - 一般室車: 中間に連結される一般室の付随車。化粧室や乗降扉の数によってA車、B車、C車に細分化されます。
• - 特室車: 中間に設置された特室業務の付随車。
• - 食堂車: 食堂業務に特化した付随車。
• - 特室・食堂合造車: 食堂と特室が合併した車両です。

101系の初運転は1987年に始まり、その後111系へのシフトを経て、1992年の民間資金による大量増備が行われました。1997年にはセマウル号形気動車の運行が38往復中30往復を占め、輸送力と乗客サービスの向上に寄与しました。

しかし、2004年に韓国高速鉄道（KTX）が開始すると、この気動車はその最上級列車としての地位を失いました。老朽化も進み、2013年には営業運転が終了し、先頭車両は全て廃車となったほか、残存する中間車も改造に追いやられました。

大統領専用列車：慶福号

セマウル号形気動車の派生車両として、大統領専用の特別車両である慶福号が存在します。1979年から2001年まで使用されたこの列車は、韓国大統領の移動や国賓輸送に用いられ、その外観はセマウル号形気動車に似ており、4両編成で製造されていますが、詳細な諸元は公開されていません。

慶福号の運用は韓国鉄道公社ではなく、大統領府によって行われ、より高いセキュリティを確保しています。

このように、セマウル号形気動車と慶福号は、韓国の鉄道史において重要な役割を果たしてきた存在であると言えるでしょう。

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