韓国高速鉄道

韓国高速鉄道（KTX）について

韓国高速鉄道（Korea Train Express、KTX）は、大韓民国を代表する高速鉄道システムです。最高速度305km/hで運行し、ソウルと釜山などの主要都市間を短時間で結んでいます。

概要

KTXの建設プロジェクトは1990年に始まり、2004年に京釜高速線の一部区間が開業し、運行を開始しました。総工費は約22兆ウォン（約2兆円）にも及ぶ大規模なプロジェクトでした。その後も路線の拡充が進められ、湖南高速線、江陵線、中央線、中部内陸線が開業し、韓国の主要都市を結ぶ高速鉄道網が形成されました。

初期の計画では「京釜高速鉄道」と呼ばれていましたが、湖南線への延伸計画が加わり、現在の「韓国高速鉄道」という名称になりました。一般的には、列車等級（ブランド名）である「KTX」の名称が広く知られています。

本記事では、韓国鉄道公社（KORAIL）が運行する高速列車「KTX」を中心に、路線、運営、車両などについて詳しく解説します。なお、SRが運行する高速列車「SRT」については、別途項目を参照してください。

路線概要

KTXは、以下の主要路線で運行しています。

京釜高速鉄道

• - 高速線経由（ソウル - 大田 - 東大邱 - 釜山）

- 路線距離：417.4km
- 駅数：10
- 最高速度：305km/h

• - 京釜線直通（在来線経由）区間（ソウル - 水原 - 大田）

- 路線距離：166.3km
- 駅数：4
- 最高速度：150km/h

• - 京釜線直通（在来線経由）区間（東大邱 - 亀浦 - 釜山）

- 路線距離：115.4km
- 駅数：5
- 最高速度：150km/h

• - 慶全線直通（東大邱 - 密陽 - 馬山 - 晋州）

- 路線距離：159.2km
- 駅数：7
- 最高速度：150km/h

• - 東海線直通（東大邱 - 浦項）

- 路線距離：82.8km
- 駅数：2
- 最高速度：150km/h

湖南高速鉄道

• - 高速線経由（龍山 - 五松 - 益山 - 光州松汀 - 木浦）

- 路線距離：370.6km
- 駅数：10
- 最高速度：305km/h（京釜高速線直通区間含む）

• - 湖南線直通（在来線経由）区間（五松 - 西大田 - 益山）

- 路線距離：121.6km
- 駅数：5
- 最高速度：150km/h

• - 全羅線直通（益山 - 順天 - 麗水エキスポ）

- 路線距離：180.4km
- 駅数：8
- 最高運転速度：200km/h

江陵線

• - 京釜・京元・中央・京江線直通（ソウル - 江陵）

- 路線距離：224.4km
- 駅数：12
- 最高運転速度：250km/h

• - 嶺東線直通（珍富 - 東海）

- 駅数：4
- 最高運転速度：250km/h

中央線

• - 京釜・京元・中央・東海線直通（ソウル - 釜田）

- 路線距離：433.1km
- 駅数：16
- 最高運転速度：250km/h

中部内陸線

• - 京江・中部内陸線直通（板橋 - 聞慶）

- 路線距離：135.0km
- 駅数：10
- 最高運転速度：205km/h

運行系統

KTXは、以下の5つの主要な系統で運行されています。

1. 京釜高速鉄道
- 京釜線系統：ソウル - 釜山間を運行。高速線のみを走行する系統と、水原、西大邱、亀浦を経由する在来線直通系統があります。
- 慶全線系統：ソウル - 馬山間を運行。東大邱から密陽を経由し、慶全線に直通します。一部列車は晋州まで直通します。
- 東海線系統：ソウル - 浦項間を運行。東大邱から乾川分岐点を経由し、東海線に直通します。
2. 湖南高速鉄道
- 湖南線系統：龍山 - 木浦間を運行。高速線を走行する系統と、西大田を経由する在来線直通系統があります。
- 全羅線系統：龍山 - 麗水エキスポ間を運行。益山から全羅線に直通します。
3. 江陵線
- ソウル - 江陵間を運行。京釜線、京元線、中央線、京江線を経由します。一部列車は東海駅まで直通します。
4. 中央線
- 清凉里 - 安東間を運行。2024年には釜田駅まで延伸予定です。
5. 中部内陸線
- 板橋 - 聞慶間を運行。忠州を経由し、2024年11月には聞慶まで延伸予定です。

車両

KTXで使用される主な車両は以下の通りです。

• - KTX-I

- 開業当初から使用されている車両で、フランスのTGVをベースにしています。最高速度は305km/hです。

• - KTX-山川

- 従来のKTXを改良した車両で、座席の快適性や居住性が向上しています。最高速度は305km/hです。

• - KTX_山川

- KTX-山川をベースに、騒音低減や座席数増加などの改良が加えられた車両です。

• - KTX-イウム

- 中央線に導入された動力分散方式の車両です。最高速度は260km/hです。

• - KTX-青龍

- KTX-イウムをベースに、最高速度320km/hに対応した設計となっています。

歴史

KTXの歴史は、1970年代の高速鉄道構想から始まりました。1987年には盧泰愚大統領が高速鉄道建設を公約に掲げ、具体的に動き始めました。1992年には車両と架線、信号システムの国際入札が開始され、1993年にフランスのTGVを基本とした車両が採用されました。その後、1997年に最初の車両が落成し、2004年に京釜高速線の一部区間が開業し、営業運転を開始しました。

課題

KTXは開業以来、様々な課題に直面しています。

• - 沿線騒音: 高速走行による騒音が問題となっており、沿線住民からの防音壁設置の要求が絶えません。
• - 負債: KORAILと鉄道施設公団の負債が巨額に達しており、経営状況の改善が求められています。
• - 車両の不具合: 車両の故障やトラブルが頻発しており、安全性の確保が課題となっています。
• - バリアフリー: 車椅子利用者への配慮が十分でなく、改善が求められています。

まとめ

韓国高速鉄道KTXは、韓国の主要都市を結ぶ重要な交通手段です。高速性、快適性、安全性など、課題は多くありますが、今後も路線の拡充とサービスの改善が期待されています。韓国を訪れる際には、ぜひKTXを利用してみてください。

参考文献

• - Wikipedia
• - KORAIL 公式サイト
• - VisitKorea 公式サイト

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