韓国鉄道日本製動車

韓国鉄道日本製動車

韓国鉄道日本製動車（かんこくてつどうにほんせいどうしゃ、朝鮮語: 통근형 디젤 액압 동차）は、韓国鉄道庁が運用していた日本製の気動車群を指します。これらの車両は、戦後の韓国で初めて新製された気動車としての重要な役割を果たしました。

導入の背景

1945年の第二次世界大戦の終戦時に、朝鮮半島には約60両の気動車が存在していました。しかし、戦時中の酷使や朝鮮戦争の影響で、その多くは劣化してしまいました。1950年代末には、たったの6両だけが使用可能な状態となったのです。
その後、国際協力機構（ICA）の支援を受けて既存の車両の復旧が進む一方で、1961年の動力近代化施策の開始に伴い、短距離運転に適した新たな気動車の需要が高まりました。これを受けて、1961年12月に最初の2両が導入され、日本各地の鉄道車両メーカーによって製造が開始されました。

車両の概要

日本国有鉄道のキハ52形気動車を基に設計された韓国鉄道日本製動車は、特徴的な両運転台と中央に位置した貫通扉を持っています。車内にはボックスシートとロングシートが配置され、立客定員の便も考慮されています。また、便所と水タンクも設けられており、乗降口には低床式プラットフォームに対応するための2段のステップが施されています。

1966年以降に製造された車両では、扉の形状が折り戸から引き戸に変更され、乗降扉近くに設置されたクロスシートもロングシートに改められています。この結果、全体の定員数も増加しました。

動力機関には新潟鐵工所製のDMH17Hを2基搭載し、自動変速装置により変速切り替えが行われるため、運転しやすい設計となっています。台車については、日本国有鉄道のDT22A形を基にしたもので、韓国側の要望に応じて最新技術が盛り込まれています。

特に、11両は政府や鉄道庁の要員を輸送するためのVIP特別車両として製造されたもので、一部は後に旅客車両として使用されました。さらに、1975年にはポスコの専用鉄道向けに新潟鐵工所製の車両が製造され、仕様が少し異なる片運転台の車両となっています。

付随車と運用

1965年から1968年にかけて、韓国鉄道庁は仁川工作廠で33両の付随車を製造しました。これらは日本製動車への増結用として設計されており、オールロングシートが配置されています。さらに、主要諸元もまとめられています。

1961年以降、韓国鉄道日本製動車は合計159両が製造され、最初の運用地はソウル近郊でした。この車両の導入により、ソウル駅から東仁川駅までの旅客輸送時間が大幅に短縮されました。1974年以降の電化に伴い、これらは他の地方路線へも転出され、1983年以降は普通列車として利用されています。

来たる1992年、気動車の車号改正が行われた際、トンイル号用の車両は9501形、ピドゥルギ号用は9601形に分類されました。運用中にはエンジンの交換やトラブルが発生し、全体の159両のうち、49両は廃車となりました。

保存状況

現在、韓国では672（1963年・新潟鐵工所製）と9601（1966年・川崎重工業製）の2両が鉄道博物館に保存されています。672はピドゥルギ号の塗装で静態保存、9601は屋外での保存が行われていますが、動態保存運転は行われていません。9601は特別車両として製造された貴重な存在です。

まとめ

韓国鉄道日本製動車は、一国の鉄道文化の形成に貢献した重要な車両であり、その歴史的背景や運用状況は現在も多くの人々に語り継がれています。これらの車両は、韓国の鉄道史を知る上で欠かせない存在です。

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