項伯

項伯について

項伯（こうはく、Xiàng Bó、? - 紀元前192年）は、中国の戦国時代末期から前漢初期の政治家および武将です。彼は名を纏（てん）とし、項家の重要な一員として生まれました。項伯は項羽の叔父であり、項梁の兄弟でもあります。彼は劉邦との関係で知られ、特に鴻門の会での出来事において、劉邦を項羽から守ったことで有名です。

生い立ちと初期の活動

項伯は、現在の江蘇省宿遷市宿城区に位置する下相で誕生しました。彼は楚の名門、項家の一族として育ちながらも、紀元前223年に秦の始皇帝によって楚が滅ぼされた際、故郷を追われることとなります。この時期、彼は下邳という地で、任侠の活動を行っていた張良と交流を持ちました。ある事件では、張良の助けを借りて、殺人を犯した際に匿われたこともありました。

始皇帝が亡くなった後、項伯は兄弟の項梁と甥の項羽と共に、挙兵して秦に立ち向かいました。項梁が二世2年（紀元前208年）に死亡した後、項伯は項羽と共に軍を率い、戦争に参加します。彼は秦との戦闘において大きな役割を果たし、楚の左令尹という官職に就きました。

劉邦との関係

劉邦が咸陽を攻略し、秦王子嬰を降伏させた後、項羽は彼との対立が始まります。項羽の信任を受けている范増は劉邦の排除を企図し、項伯は元友人の張良を通じて劉邦のもとを訪れます。そこで、項伯は張良に逃れるように勧めましたが、張良はそれを拒否し、劉邦との会見を優先します。

項伯は結局、劉邦と会見することになり、彼からの祝杯を受け、両者の姻戚関係を約束します。この際、項伯は項羽に劉邦を攻撃しないよう進言し、その意向が通じて劉邦との和解が成立します。これが歴史的な鴻門の会の出来事です。

その後の活動と評価

項伯はその後も劉邦に仕え続け、彼のために漢中の地を求めるなど活動を続けました。このように、彼は劉邦を助け、その権力が増すにつれ、多くの利益を享受しました。しかし、彼の行動は同時代の人々から批判も受け、特に『西漢通俗演義』では彼の行為が軽蔑され、金を追う小人と評されています。

高祖3年（紀元前204年）には、彼は九江に駐屯し、妻子を残した九江王英布を攻撃し、彼の家族を皆殺しにする命令を受けます。項伯はこの後、劉邦が項羽を討伐するために立ち上がると、その側近として行動します。

項伯は最後には劉邦に帰順し、彼の功績によって射陽侯に封ぜられました。最終的に彼は高祖6年（紀元前201年）に死去し、その子が跡を継ぎますが、その後の彼は罪を犯し、国を追放されることになります。

総括

項伯の人生は、彼自身の選択と周囲の家族や仲間の影響が織り成す複雑なものでした。彼が劉邦と項羽の対立の中でどのように振る舞ったかは後世に大きな影響を与え、彼の行動は評価と批判の両面を持ち続けています。

もう一度検索