柱国

柱国と上柱国の歴史的背景

柱国（ちゅうこく）は、古代中国において使用されていた官職や称号であり、特に歴史の中で重要な役割を果たしました。この称号は、戦国時代において楚の国で功績を上げた将軍たちに対して授与されたものが起源とされています。さらに、上位に位置する官職である上柱国（じょうちゅうこく）についても重要な歴史的価値があります。

柱国の起源と発展

戦国時代、特に楚国では、将軍たちが戦争での功績を基に「柱国」や「上柱国」の称号を贈られました。この制度は、古代中国の軍事文化に根付いたものであり、将軍や武将に対する栄誉を示すものでした。最初期の「柱国」は、雑号将軍の一環として位置づけられていました。これはあくまで名誉職に近いもので、実際の政権の権限は持たないものでした。

その後、漢朝の更始帝に仕えた李通や後燕の翟檀、北魏の長孫嵩など、著名な将軍たちにも柱国の称号が与えられましたが、彼らもまた、名誉ある称号としてその地位を保持していました。

北魏時代の変革

柱国の位置づけが大きく変わったのは、北魏後期の孝荘帝の時代です。この時代には、柱国大将軍が丞相よりも高い地位として認識されるようになりました。特に、孝荘帝を擁立した爾朱栄は、その功績によって大将軍から柱国大将軍に昇進しました。こうして、柱国は単なる名誉職ではなく、実際に権力を持つ地位へと変貌を遂げました。

さらに、この地位は東魏や西魏の権力者たちにも与えられ、高歓や宇文泰といった有力な将軍たちが名を連ねることとなります。宇文泰は特に、その権力を基に自らと同様の地位を持つ将軍たちを選出し、彼らを「八柱国」と呼ぶようになりました。この八柱国は後の西魏と北周における軍事的な基盤を形成することになります。

散官化とその後の歴史

しかし、北周の成立後には、柱国大将軍という称号が散発的に与えられるようになり、名誉職としての価値が薄れていきました。575年には、柱国大将軍の上位職として上柱国大将軍が設置され、さらなる階級が設けられました。

隋の時代に入ると、「大将軍」という称号が外れ、柱国は散官扱いとなりました。その後、唐の時代にはこの柱国が軍事的な地位の中で最上等の勲官として認識されることになりますが、明に至ってもその重要性は続きました。

一方で清の時代には、勲官制度が廃止されたため、上柱国および柱国の称号も歴史の中から消え去ることとなりました。このように、柱国という称号は古代中国の歴史の中で多くの変遷を経てきたことを物語っています。

参考文献

• - 前島佳孝『西魏・北周政権史の研究』（汲古書院、2013年8月6日）
• - 第一部第三章「西魏八柱国の序列について」（『史学雑誌』第108編第8号（1999年））
• - 第一部第二章「柱国と国公」（『九州大学東洋史論集』第34号（2006年））

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