須卜骨都侯単于

須卜骨都侯単于（しゅうほくこつとこうぜんう）は、後漢時代末期の188年から189年にかけて、南匈奴の単于として短期間在位した人物です。彼の出自は、匈奴の中でも有力な部族である須卜部であり、骨都侯という地位にありました。しかし、彼の名前そのものは歴史には記録されていません。

即位の背景

彼の即位は、南匈奴内部の深刻な対立と混乱の中で起こりました。当時の単于であった羌渠は、度重なる徴兵によって民衆の不満を買っていました。188年3月、ついに右部の醢落が休屠各胡の白馬銅ら10万余人を率いて反乱を起こし、羌渠を殺害するという事件が発生します。これにより、南匈奴の政情は大きく揺らぎます。

羌渠の後継者には、子の右賢王於夫羅が指名されました。しかし、羌渠を殺害した国人たちは、於夫羅を認めず、新たに須卜骨都侯を単于として擁立したのです。これは、南匈奴内部の部族間の対立や、政治的な駆け引きが複雑に絡み合った結果と言えるでしょう。

於夫羅の訴えと混乱

単于の地位を奪われた於夫羅は、事態を収拾するために自ら洛陽へ赴き、当時の朝廷に事の経緯を訴えます。しかし、時あたかも霊帝の崩御という混乱期であり、彼の訴えは受け入れられませんでした。失意のうちに於夫羅は白波賊と手を結び、河内諸郡を略奪するも、現地の自警団に阻まれ、成果を上げられずに本国へ帰ろうとします。しかし、本国もまた彼を受け入れず、於夫羅は河東郡に留まらざるを得ませんでした。

短い治世とその終焉

須卜骨都侯単于の治世は、わずか1年という短いものでした。189年に彼は死去し、南単于庭の単于の地位は空位となります。その後、老王が国事を執り行うという事態となり、南匈奴はさらなる混乱へと向かうことになります。

須卜骨都侯単于の短い在位期間は、南匈奴の動乱期を象徴する出来事であり、後漢王朝の衰退と、周辺異民族の自立化が進む時代の流れを反映しています。彼の登場と死は、その後の南匈奴の歴史に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

参考資料

* 『後漢書』（南匈奴列伝）

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