須原屋佐助

須原屋佐助とは

須原屋佐助（生年不詳 - 天保11年（1840年））は、江戸時代に江戸で活躍した地本問屋、団扇問屋、書物問屋です。金花堂または金華堂と号しました。須原屋茂兵衛の一門であり、その支配人を経て、独立しました。

来歴

佐助は、近江屋与兵衛が創業した金花堂の経営を引き継ぎました。元々は、鴨伊兵衛が経営していた店です。佐助は、須原屋茂兵衛の店で奉公した後、金花堂の株を買い取り、独立したとされています。文化3年（1806年）には、和紙舗榛原を開業しました。文化年間から明治時代にかけて、日本橋通4丁目長右衛門店地借で書物問屋を営み、後に団扇問屋、地本草紙問屋も兼ねるようになりました。地本草紙問屋の組合である仮組（新組）の一員でした。

文政6年（1823年）に、鴨伊兵衛から店を譲り受け、店主となりました。佐助は、紀伊国栖原村から幼少時に江戸へ出て、日本橋一丁目の須原屋茂兵衛の店で奉公し、年季明けで独立を果たしました。

文政7年（1824年）に刊行された『江戸買物独案内』には、「書物問屋　唐本・和本・仏書・石刻」として記載されています。また、書紙問屋として「元祖　雁皮紙所」や「和漢名品文房之具御誂御望次第」、さらに「小児五疳妙薬　保童真珠丸」の広告が掲載されています。当時の引き札から、書籍、紙、墨などの文具から薬まで幅広く取り扱っていたことがわかります。特に、豆州熱海の今井半太夫製の熱海雁皮を扱ったところ、大変な好評を得て財を成しました。佐助はその財力で、本町の今井、万町の榛原を買収し、金花堂と合わせて三つの店舗を経営しました。

初代佐助には子がなかったため、天保8年（1837年）に養子を迎え、2代目金花堂佐助としました。同時に、榛原の主人にもつけ、彼を初代榛原直次郎としました。

主な作品

佐助が関わった主な出版物は以下の通りです。

賀茂真淵『冠辞考』1冊（寛政7年（1795年））
中臣親満、小山田与清ほか 『千鳥のあと』1冊（文政2年（1819年））
『江戸町づくし』（文政4年（1821年））
東籬亭悠翁編 『日用雑録婦人珠文匣 秀玉百人一首小倉栞』（天保7年（1836年））※須原屋茂兵衛、岡田屋嘉七らと合版
黒沢翁満『源氏百人一首』（天保10年（1839年））
山鹿素水 『練兵実備』全3冊（嘉永3年（1850年））
鈴木善教校 『校本古文真宝後集』1冊（安政5年（1858年））※須原屋茂兵衛、山城屋佐兵衛らと合版
『皇学所御用』1冊（明治26年（1893年））

これらの作品から、佐助が幅広いジャンルの書籍を出版していたことがわかります。また、他の版元との合版も多く、当時の出版業界における協力関係もうかがえます。

参考文献

日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』第3巻 大修館書店、1982年 ※139頁
大柳久栄「「雁皮紙」の暖簾と紙商‐金花堂・今井・榛原‐」　『暁斎』第77号　河鍋暁斎記念美術館、2003年　※23‐30頁

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