須貝四郎

須貝 四郎

1949年5月26日に兵庫県で生まれた須貝四郎は、日本の競馬界において騎手、そして競馬評論家として活躍した人物です。彼の家系は競馬と深いつながりがあり、兄の須貝彦三は元騎手・元調教師、甥の須貝尚介は現在も調教師として活動しています。親しい関係者からは「四郎ちゃん」という愛称で呼ばれていました。

騎手としてのキャリア

1969年3月、須貝四郎は騎手免許を取得し、同期の楠孝志と共に栗東トレーニングセンターの橋田俊三厩舎からプロとしての第一歩を踏み出しました。この時の同期には、後に中央競馬で名を馳せることになる内田国夫や西浦勝一といった面々がいました。初騎乗は免許取得と同日の京都競馬場でしたが、勝利には至りませんでした。しかし、その一週間後には同じ京都競馬場で早くも初勝利を挙げ、順調なスタートを切ります。デビューイヤーから11勝をマークするなど、若手ながら安定した成績を残し、1976年まで8年連続で年間二桁勝利を達成しました。

彼の騎手人生における転機の一つは、障害競走馬インターヒカリとの出会いです。デビュー3年目の1971年、彼はインターヒカリに騎乗し、阪神障害ステークス（秋）で自身初の重賞勝利を挙げます。さらに同馬とのコンビで京都大障害（秋）も制し、その年の啓衆社賞最優秀障害馬に選ばれる活躍を見せました。この年は平地・障害合わせて自己最多となる28勝を記録しています。

1972年からは、当時注目を集めていたタイテエムの主戦騎手となります。タイテエムとのコンビでは、スプリングステークスで勝利を挙げ、これが須貝にとって平地での重賞初制覇となりました。同馬はランドプリンス、ロングエースと共に「関西三強」と呼ばれ、その年の東京優駿（日本ダービー）ではこの3頭が上位を占める結果となり、タイテエムは3着と健闘しました。秋には神戸新聞杯、京都新聞杯を連勝し、菊花賞では堂々の1番人気に推されますが、惜しくも2着に敗れクラシック制覇は叶いませんでした。翌1973年には落馬による負傷があり、タイテエムの主戦は兄の彦三に引き継がれました。

その後、1974年の阪神3歳ステークスではライジンに騎乗。先行する馬をゴール前で鮮やかに差し切り、自身にとって唯一となるGI級レース制覇を達成しました。ライジンはこの勝利により、同年の優駿賞最優秀3歳牡馬に選出されています。

キャリアを通じて、1975年には通算100勝を達成。騎手としての最終勝利は1978年8月の小倉競馬場、最終騎乗も同日同場で行われました。そして、1979年に騎手生活にピリオドを打ちました。

評論家としての活動

騎手を引退した須貝は、その舞台を解説席に移します。特に、関西テレビの競馬中継番組で評論家として活躍しました。新人騎手時代から「喋りも達者」と評されていた彼の話術は、テレビ解説者として大いに活かされました。一方、同期の西浦勝一は寡黙なタイプであったとされ、対照的な存在として語られています。

早逝

競馬界で騎手、そして評論家としてその足跡を残した須貝四郎ですが、1994年7月8日、食道動脈瘤破裂のため、京都市内の病院で急逝しました。享年45歳という、あまりにも早すぎる別れでした。その親しみやすい人柄と、的確な解説は、多くのファンに惜しまれました。

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