額田部広麻呂

額田部広麻呂の生涯

額田部広麻呂（ぬかたべ の ひろまろ）は、奈良時代に活動した郡司であり、その詳細な生没年は不詳ですが、彼の功績は歴史的文書に記録されています。彼は周防国の地方行政において重要な役割を果たし、特に藤原広嗣の乱において目立った活躍をしました。

経歴の詳細

額田部広麻呂は、天平10年（738年）には正八位下の地位にあり、長門国豊浦郡の擬大領としての役職に就いていました。彼は耽羅島人を部領として上京し、その活動地域は周防国を含んでいました。このことから、彼が当時の重要な政治的拠点に関わっていたことが伺えます。

次の天平12年（740年）には、額田部広麻呂は外正八位上へと昇進し、長門豊浦郡の少領に任命されました。この時期、藤原広嗣の乱が起こり、彼は大野東人の指示のもと、精兵40人を率いて九州へ渡りました。この行動は、乱の鎮圧に向けた決定的な貢献とみなされ、その功績により直姓を賜り、外従五位下へと昇叙されました。

官位に関する議論

『正税帳』と『続日本紀』の記録には、彼の官位や姓に関する相違点が見られますが、学者たちはこの人物が同一であると一致した見解を持っています。この背景には彼の著名な一族の存在があり、額田部直塞守（ぬかたべ の あたい せきもり）もまた同時代に名を知られた軍団長であり、広麻呂の一族に属しています。

地域の特定

額田部広麻呂の本拠地とされる長門の額田部郷について、地理的な議論がいくつか存在します。現在の下関市の長府以東、楠乃、そして豊浦町大字宇賀など複数の説があり、正確な位置については未解明のままです。この地域の地名が一致する場所が未だに発見されていない点は、歴史的な研究において興味深い課題となっています。

参考文献と関連項目

額田部広麻呂に関連する文献としては、三省堂の『コンサイス日本人名辞典 改訂新版』や、岩波書店の『続日本紀』が挙げられます。また、講談社学術文庫による全現代語訳や、奈良時代に関する書籍も参考に取り上げられています。関連する歴史的な人物としては、藤原広嗣、大野東人、聖武天皇、称徳天皇といった名が挙げられ、当時の部民制や額田部氏との関係が語られています。いずれも、彼の存在を理解するための重要な手がかりとなります。

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