顔面動脈

顔面動脈について

顔面動脈は、顔面の構造に栄養を供給する主要な動脈であり、外頸動脈から分岐します。この動脈は、首と顔の両方を通る非常に蛇行した血管であり、その走行と枝分かれを理解することは、顔面部の外科手術や診断において重要です。

経路

顔面動脈は、頸動脈三角において舌動脈のわずか上方で外頸動脈から発生します。その後、以下の経路をたどります。

1. 下顎枝にて保護され、顎二腹筋と茎突舌骨筋の下方を斜め上方に進みます。
2. 顎下腺後面の溝に入ります。
3. 咬筋の前下方角で下顎体を超えて上方に進みます。
4. 頬を横切り、前上方へ向かい、口角へ到達します。
5. 鼻側部に沿って上昇し、眼の内側角に向かい、眼角動脈となります。

この蛇行した経路は、嚥下運動の際に咽頭の動きに適合し、また下顎骨、唇、頬の動きにも対応します。

枝

顔面動脈からは、多くの枝が分岐し、顔面や頸部の様々な組織に血液を供給します。主な枝は以下の通りです。

頸部の枝

上行口蓋動脈: 口蓋や咽頭に血液を供給します。
扁桃枝: 扁桃周囲の組織に栄養を送ります。
オトガイ下動脈: オトガイ下部や下顎に分布します。
腺枝: 顎下腺などの腺組織に血液を供給します。

顔面の枝

下唇動脈: 下唇に血液を供給します。
上唇動脈: 上唇に血液を供給します。
外側鼻動脈: 鼻の側面に血液を送ります。
眼角動脈: 顔面動脈の終枝であり、眼の内側角に血液を供給します。

栄養を供給する組織

顔面動脈は、以下の筋肉や組織に栄養を供給します。

* 筋肉: 頬筋、口角挙筋、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋、口蓋帆挙筋、咬筋、オトガイ筋、顎舌骨筋、鼻筋、口蓋舌筋、口蓋咽頭筋、広頸筋、鼻根筋、笑筋、茎突舌筋など。

これらの筋肉や組織への血液供給は、顔面の表情、咀嚼、嚥下などの機能に不可欠です。

顔面動脈は、顔面の健康と機能維持に重要な役割を果たしています。その詳細な走行と枝分かれを理解することは、医療従事者にとって非常に有益です。

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