顕子女王

顕子女王について

顕子女王（あきこじょおう）は、寛永17年2月13日（1640年4月4日）に生まれ、延宝4年8月5日（1676年9月12日）に亡くなった、江戸幕府第4代将軍徳川家綱の正室（御台所）です。伏見宮貞清親王の第三王女で、幼名は浅宮（あさのみや）、法名は高巌院（こうげんいん）と称しました。姉には、紀州藩第2代藩主徳川光貞の正室である安宮照子（天真院）がいます。また、後に第8代将軍となる徳川吉宗の御簾中、真宮理子の伯母にあたります。

生涯

京都で、伏見宮貞清親王の娘として誕生しました。母は宇喜多秀家の娘であり、豊臣秀吉の養女でした。東福門院の推薦により、将軍徳川家綱との婚約が成立しました。明暦3年（1657年）4月5日に京都を出発し、同月23日に江戸城本丸大奥に入りました。その際、姉小路局や飛鳥井局といった上臈が京より付き従いました。

同年7月10日、江戸城西の丸で盛大な婚儀が執り行われました。万治2年（1659年）9月5日には本丸大奥に入り、正式に御台所となりました。その後、延宝元年（1673年）には従三位に叙せられました。

しかし、延宝4年（1676年）、顕子女王は乳癌を発症します。家綱は直接医師の診察を受けるように勧めましたが、彼女は「簾外の者に対面することは公家方の礼を乱すことになる」として、医師による触診を拒否しました。病に苦しみながらも、一度も「苦しい」という言葉を口にしなかったと伝えられています。同年8月5日、37歳で薨去し、東叡山寛永寺に葬られました。戒名は高厳院殿月潤円真大姉です。家綱との間には子供はいませんでした。

死後、延宝5年（1677年）8月2日には従一位が追贈され、その高貴な生涯が称えられました。

人柄と逸話

顕子女王は、その高貴な身分にふさわしい品格と、病に苦しみながらも決して弱音を吐かない強い意志を持った女性でした。彼女が医師の診察を拒んだエピソードは、当時の公家社会のしきたりに対する彼女の強いこだわりを示しており、その気高さが偲ばれます。

関連作品

顕子女王を題材とした作品として、以下のものがあります。

大奥（1968年、関西テレビ） - 演：藤純子
大奥（1983年、関西テレビ） - 演：中野良子

これらの作品を通じて、顕子女王の生涯や人柄に触れることができます。

参考文献

* 「幕府祚胤伝」（『徳川諸家系譜』第2巻、続群書類従完成会）


この文献は、顕子女王の出自や生涯について詳しく知るための貴重な情報源です。

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