類鼻疽

類鼻疽（メリオイドーシス）について

類鼻疽（melioidosis）は、病原体である類鼻疽菌（Burkholderia pseudomallei）によって引き起こされる、人獣共通感染症です。この感染症は感染症法における4類感染症に指定されており、特に注意が必要な疾患として位置づけられています。類鼻疽菌は土壌や水中に広く存在し、主に東南アジアやオセアニアの北部地域で見られ、日本国内には分布していません。

病原体と感染の仕組み

類鼻疽菌はグラム陰性の好気性桿菌で、自然界では土壌に生息しています。感染症は、汚染された土壌や水を介して経気道的または経口的に行われます。特に、糖尿病や免疫系に問題を抱える人々は、この感染症にかかりやすい傾向があります。

疫学と臨床症状

類鼻疽はヒトや動物に感染する疾患で、特に齧歯類の感染が報告されています。人間の場合、感染後は肺炎や敗血症を引き起こすことが多く、敗血症においては致命率が50%から90%と非常に高く、特に危険です。発症症状としては、発熱、呼吸困難、心拍数の上昇などが見られます。感染から発症には数時間から数十年の幅があり、その不確定性がこの感染症の治療を困難にしています。

家畜における影響

類鼻疽は家畜にも感染します。日本では、牛、水牛、豚、羊、山羊、馬、いのししなどが対象動物として指定されています。急性の感染では発熱や食欲不振が見られ、慢性の症例では元気消失や持続的な食欲不振が観察されます。特に豚は不顕性感染を示し、感染が未確認のことが多いです。全身的にはリンパ節や各種臓器に乾酪化結節や膿瘍が形成されます。

残念ながら、類鼻疽に対するワクチンはなく、感染が確認された際には、動物は治療を行わずに屠殺されることが最も効果的とされています。感染の治療には、ミノサイクリンやピペラシリンなどの抗生物質が有効と言われています。

結論

類鼻疽は、極めて危険な感染症であり、主に特定の地域で蔓延しています。人獣共通の病原体であるため、衛生管理や感染予防が重要です。特にリスクを抱える患者に対しては、早期の発見と適切な治療が求められます。感染症法に則った監視や対応策が必要とされるこの病気について、さらに深く理解することが、感染防止の鍵となります。

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