風 (テレビドラマ)

時代劇『風』：天保の世を駆け抜ける快男児

『風』は、1967年10月4日から1968年9月11日まで、TBS系列で毎週水曜午後8時に放送された時代劇です。TBSと松竹が共同制作し、全41回（うち1話は欠番）が放映されました。モノクロ作品であり、「時代活劇シリーズ」と銘打たれていました。

概要

物語の舞台は天保年間。老中・水野忠邦による改革が推進される一方で、世の中は混乱を深めていました。そんな時代に、風の新十郎という快男児が現れ、様々な事件やトラブルに首を突っ込み、その卓越した行動力と知恵で解決していきます。新十郎は水野の改革に共感し、彼を陰ながらサポートしますが、決して家来のような立場ではなく、対等な協力者として行動します。

物語の背景

天保の改革が進む中、社会の矛盾が浮き彫りになる時代。新十郎は、庶民の暮らしを安定させたいという強い信念を持ち、水野の改革を支持します。しかし、権力に縛られることを嫌う自由人であり、水野とは対等な関係を築きます。時に水野を助け、時に反発しながら、二人の関係は物語の軸となっていきます。

映像と再放送

当初、第10話はフィルム原版の所在不明のため欠番扱いとなっていましたが、2000年12月には第1話から第3話を収録したビデオが発売されました。その後、2004年10月には第10話と第25話を除く39話がDVD-BOXとして発売されました。2011年には第25話が発見され、時代劇専門チャンネルで放送されましたが、一部映像が欠損しており、音声のみとなる箇所がありました。そのため、放送時には欠損部分をテロップで説明する措置が取られました。

主な登場人物

風の新十郎（演：栗塚旭）：元義賊で、大凧に乗って金の鯱鉾を盗み出したという伝説を持つ。水野の改革に共感し、協力を申し出るが、権力に従属することを嫌い、常に自由な立場を貫く。変装の名人でもあり、町人から侍まで様々な姿に変身する。
かがり（演：土田早苗）：水野配下のくの一。任務に忠実な甲賀忍者でありながら、新十郎に惹かれていく。美女がらみの事件では嫉妬心を燃やす一面も。物語後半では、町娘風の衣装や男装も披露する。
相川左近（演：小林昭二）：奉行所の同心。新十郎に名前を騙されたことから彼を捕縛しようと躍起になるが、次第に新十郎の人間味に惹かれ、協力者となる。正義感と人情に厚い。
福内鬼外（演：志村喬）：高名な蘭学者で、様々な発明品で新十郎を助ける。平賀源内の浄瑠璃作者としての筆名と同名だが、別人である。初期のみの登場。
早苗（演：東山明美）：福内鬼外の娘で、新十郎に思いを寄せる。初期のみ登場。侍姿に化けたことがある。
源爺い（演：小松方正）：かがりの忍術の師匠。普段は甲賀の里に住んでいる。
水野忠邦（演：池部良）：筆頭老中。悪役として描かれることが多い水野忠邦だが、本作では善玉として描かれる。新十郎の協力を得るが、対等な関係を望む。徐々に新十郎を信頼していく。

制作スタッフ

プロデューサーには、桑田良太郎、山内静夫、四方基が名を連ね、監督には松田定次、飯島敏宏、実相寺昭雄らが参加。脚本は鈴木生朗、佐々木守、宮川一郎など、多くの脚本家が担当しました。音楽は冬木透が手がけています。

主題歌とオープニング

主題歌は栗塚旭が歌う『風』。オープニングは前期と後期で二種類あり、前期は新十郎が様々な扮装をする場面、後期は着流し姿の新十郎が侍と斬り合うシーンが使用されました。

その他

主演の栗塚旭は、この作品の撮影のために所属していた劇団を退団しています。また、監督の1人である実相寺昭雄は、後に『怪奇大作戦』の京都ロケ編で、本作のスタッフを起用しています。

放送リスト（サブタイトルリスト）

各話のサブタイトルについては、詳細なリストが公開されています。

再放送

CS放送では、ホームドラマチャンネルや時代劇専門チャンネルで複数回に渡って再放送されています。2011年には、第25話の発見により全40話で放送されました。

エピソード

実相寺昭雄監督は、栗塚旭がオネエ言葉を使うことに驚き、注意したところ、それが普段の姿だと知り呆れたというエピソードを語っています。また、栗塚旭自身も、この作品に特別な思い入れを持っていることを語っています。

外部リンク

「風」DVD-BOX 作品案内 - 松竹DVD倶楽部
* 「執念」 - 元プロデューサー・山内静夫の回顧談（鎌倉ケーブルテレビ広報誌「チャンネル鎌倉2000年10月号」に掲載）

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