風戸裕

風戸裕（かざとひろし）について

風戸裕は1949年3月13日に生まれ、1974年6月2日に若くして亡くなった日本のレーシングドライバーです。彼は、1960年代後半から1970年代前半にかけて日本の自動車レース界で活躍し、特に「F1に最も近い男」という称号を持っていました。風戸は、レース活動を通じて数々の業績を残し、国内外問わず多くのレースに参加しました。通算55戦に出場し、8勝の成績を収めていますが、彼の業績は単なる成績に留まらず、日本のレーシングシーンに大きな影響を及ぼしました。

風戸は「風戸レーシングリミテッド」のオーナー兼ドライバーとして、商業的な側面を意識したレーシングチームの運営を試み、プライベートレーシングチームの先駆けと評されています。また、彼は老舗コンストラクターであるノバエンジニアリングを設立し、自らのマシンのメンテナンスに関わることで、技術面でも重要な役割を果たしました。

幼少期と学生時代

風戸裕は、日本電子光学研究所の創設者である風戸健二の次男として千葉県茂原市に生まれました。成蹊高等学校在学中、彼は1965年に16歳で自動車軽免許を取得。翌年にはマツダ・キャロルを手に入れ、ジムカーナ初挑戦で優勝を果たしました。

18歳になった1967年にはホンダ・S800を購入し、同年5月には自身のデビュー戦として日刊スポーツJr.チャンピオンレースに出場。ここで2位に入賞するなど、順調にレースキャリアを進めました。

本格的なレース活動

風戸は1968年からレース活動を本格化させ、同年は富士スピードウェイを主な舞台に年間14戦に出場。この年のレースでは、クラストップで走る場面もありましたが、初めてのリタイアを経験したこともありました。1969年にはブラバムBT16を購入後、JAFグランプリに出場し、1000cc以下クラスで2位を獲得するなどの成果を上げます。

1970年には風戸レーシングリミテッドを設立し、ポルシェ・910を駆って全日本SIIチャンピオンを獲得。さらに、富士グランチャンピオンレースにも挑戦し、1971年にはアメリカのカナディアン-アメリカン・チャレンジカップへの出場を果たすなど、国際的な舞台でもその名を知られることとなります。

ヨーロッパでの挑戦

1972年にはヨーロッパF2シートを目指し、マーチ722で出場。1973年にはノバエンジニアリングを設立し、国内外のレースに参加します。特に、ヨーロッパF2との合流を目指しました。

最期のレース

1974年、風戸はシェブロンのワークスチームに加入し、ヨーロッパF2に参戦が決定。6月2日、富士GCにおいてレース中に大事故に巻き込まれ、若くして命を落としました。彼の死は、日本のモータースポーツ界に深い影響を与え、富士スピードウェイのバンクコースの使用停止に繋がりました。

風戸の訃報は、その後の日本のレーシングドライバーにも影響を与え、漫画「サーキットの狼」の登場人物の名前の由来にもなっています。彼の存在とレースに対する情熱は、今なお多くの人々の記憶に残り続けています。

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