飯尾尚清

飯尾尚清：織田信長の家臣として生きた武将の生涯

飯尾尚清は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将です。織田信長に仕え、数々の戦場でその武勇を振るいました。彼の一生は、激しい戦乱の只中で、知略と忠義を貫いた生涯だったと言えるでしょう。

生い立ちと初期の経歴

尚清は、尾張国奥田城、北島城を領した武将の子として生まれました。諱は信宗とも伝えられていますが、尚清が正しいとされています。幼少期から武芸に励み、父・飯尾定宗と共に数々の戦に従軍しました。弘治2年（1556年）、父と共に尾張守山城攻めに参加したことが記録に残っています。

桶狭間から信長への仕官

永禄3年（1560年）、歴史の転換点となった桶狭間の戦いでは、父や大叔父である織田秀敏と共に鷲津の砦を守備しました。しかし、今川義元率いる今川軍の猛攻の前に敗れ、父は戦死。尚清は辛くも敗走を逃れました。この敗戦後、尚清は織田信長の馬廻となり、その後、信長を近侍する特別な集団である母衣衆（赤母衣衆）に加わりました。

検視役としての活躍

その後、尚清は主に検視役として活躍しました。石山合戦や三木合戦といった大規模な合戦において、その任務に当たった記録が残されています。戦場での武勇だけでなく、軍の管理や運営面でも重要な役割を担っていたことがわかります。これは、彼が単なる武人ではなく、知略にも長けた人物であったことを示唆しています。

長島一向一揆への参戦と本能寺の変

天正2年（1574年）、伊勢国で発生した長島一向一揆にも参戦しました。そして天正10年（1582年）、日本史に大きな影を落とす本能寺の変が勃発。この時、尚清の長男・敏成が戦死するという悲劇に見舞われました。

信長死後と晩年

信長の死後、尚清は信長の次男である織田信雄に仕え、2200貫文を知行しました。その後、羽柴秀吉に仕官。天正15年（1587年）には正五位上、天正18年（1590年）には従四位下、侍従に任じられるなど、朝廷からも高い評価を受けました。

天正19年（1591年）2月22日、63歳でこの世を去りました。家督は弟の重宗（敏宗）が継ぎ、次男の宗敏は重宗の子・敏隆の養子となりました。

まとめ

飯尾尚清は、桶狭間の戦いから本能寺の変まで、激動の戦国時代を生き抜いた武将です。戦場で武勇を奮い、軍の管理にも携わるなど、多様な役割を担いました。信長に仕え、その死後も織田信雄、羽柴秀吉と仕えた彼の生涯は、戦国時代の武将像を多角的に理解する上で貴重な資料となっています。その忠義と知略は、後世に語り継がれるべきものです。彼の一生は、戦乱の世を生き抜いた武将の生き様を如実に示す、まさに歴史の証人と言えるでしょう。

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