飯野和好

飯野和好：日本の児童文学を彩る絵本作家

飯野和好氏(1947年生まれ)は、日本のイラストレーター、絵本作家として広く知られています。神奈川県鎌倉市に在住し、数々の絵本や児童書を世に送り出してきた氏の作品は、子供たちの心に深く刻まれる、繊細で温かみのある絵柄と、想像力を掻き立てる物語で特徴づけられます。

戦後日本の農村から、絵本作家への道

埼玉県秩父郡長瀞町、代々続く農家に生まれた飯野氏は、3人兄弟の次男として育ちました。電気系の高校を中退後、群馬県高崎市のデパートで3年間勤務。そこで売り場の広告制作などを担当する中で、絵を描くことの面白さ、喜びを発見します。出入り業者からの勧めもあり、デパートを退職。上京して東京デザイナー学院に入学、グラフィック科からコスチューム科に転科し卒業します。その後、婦人服デザイナーとして就職しますが、1年ほどで退職。1967年にはセツ・モードセミナーに入学するも、1年後に中退しています。

絵本作家としての華々しい活躍

1969年、雑誌『anan』に掲載された「きむずかしやのピエロットものがたり」で商業デビューを果たします。その後、数々の絵本を発表し、多くの賞を受賞。代表作の一つである「小さなスズナ姫シリーズ」では第11回赤い鳥さし絵賞を受賞。また、「ねぎぼうずのあさたろう」(福音館書店)で第49回小学館児童出版文化賞、「みずくみに」で第20回日本絵本賞、「ぼくとお山と羊のセーター」で第70回産経児童出版文化賞タイヘイ賞を受賞するなど、その作品は高く評価されています。

多彩なテーマと表現

飯野氏の作品は、日本の伝統的な物語や妖怪、自然、動物など、幅広いテーマを扱っています。ユーモラスな表現や、繊細な描写、そして子供たちの心を掴む独特のストーリーテリングは、多くの読者を魅了し続けています。氏の作品世界は、子供たちに夢と希望を与え、豊かな感性を育む温床となっています。絵本だけでなく、児童書のイラストレーションも多数手がけ、その才能は多方面で発揮されています。

代表作品

飯野氏の作品は、多岐にわたる出版社から出版されており、その数は膨大です。代表的な作品として下記を挙げることができますが、これ以外にも多くの作品を発表し、日本の児童文学に貢献しています。

『わんぱくえほん』(偕成社)
『ハのハの小天狗』(ほるぷ出版)
『妖怪図鑑』(童心社)
『これこれおひさま』(詩：小野寺悦子、のら書店)
『むかでのいしゃむかえ』(福音館書店)
『ヤギの絵本』(農文協)
『シイタケの絵本』(農文協)
『赤ずきん』(グリム、教育画劇)
『ジャックと豆のつる』(ジェイコブズ、三起商行（ミキハウス）)
『ふようどのふよこちゃん』(理論社)
『しんた、ちょうたのすっとび! かごどうちゅう』(Gakken)
『つぎのかたどうぞ』(小学館)
『月見草の花嫁』(BL出版)
『みずくみに』(小峰書店)
『へのかっぱ』(絵本館)
『かめ』(ビリケン出版)
『おせんとおこま』(ブロンズ新社)
『ざしきわらしのおとちゃん』(小学館)
『灰屋灰次郎 灰はございー』(アリス館)
『ふようどのふよこちゃん おやまはだいじ』(理論社)
『火 あやかし』(小峰書店)
『おふろ、はいる?』(あかね書房)
『かふんとみつ』(絵本塾出版)
『ぼくとお山と羊のセーター』(偕成社)
『人生はチャンバラ劇』(パイ インターナショナル)
「くろずみ小太郎旅日記」シリーズ(クレヨンハウス)
「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズ(福音館書店)
「日本の神話」シリーズ(パイ インターナショナル)

これらの作品群は、飯野氏の豊かな創造性と、子供たちへの深い愛情が込められた、かけがえのない宝と言えるでしょう。これからも、飯野氏の作品が多くの子供たちに愛され、日本の児童文学を彩り続けることを期待しています。

もう一度検索