飯野山

飯野山：讃岐平野にそびえる霊峰

香川県丸亀市と坂出市の境に位置する飯野山は、その美しい姿から「讃岐富士」の愛称で親しまれ、新日本百名山にも名を連ねる名峰です。標高422メートルと、比較的手軽に登頂できることから、近年は健康増進を目的とした登山者にも人気が高まっています。

飯野山の地形と地質

飯野山は、讃岐平野に孤立してそびえ立つビュートと呼ばれる地形をしています。これは、かつてはより広大な台地であったものが、長い時間をかけて浸食された結果だと考えられています。山麓は花崗岩で構成され、中腹から山頂にかけては硬い火山岩の一種であるサヌカイトが広く分布しています。山頂付近には、サヌカイトが風化してできた赤い粘土が堆積しているのが特徴です。西には土器川、東には大束川が流れ、豊かな自然環境に恵まれています。

歴史と文化

飯野山麓には、古くから飯依比古を祀る飯神社と坂元神社が鎮座し、地域の人々の信仰を集めてきました。山腹には桃などの果樹園が広がり、人々の生活と深く関わってきた歴史がうかがえます。山頂には、巨人伝説にまつわる巨人「おじょも」の足跡と伝わる場所や、安養寺の奥之院薬師堂、不動尊などがあり、歴史と信仰が深く結びついた聖地でもあります。2010年には丸亀市観光協会が4月22日を「讃岐富士の日」と制定し、毎年山頂で柴灯護摩が焚かれるなど、地域イベントも盛んです。2018年には、山頂から昇る太陽が丸亀市の宮池に映る「ダブルダイヤモンド讃岐富士」が四国八十八景に選定されるなど、その景観は広く知られています。

登山ルートとアクセス

飯野山への登山道はいくつか整備されており、初心者から経験者まで幅広く対応できます。代表的なルートとしては、南麓からの比較的整備された登山道があり、丸太階段などが設置され、歩きやすいコースとなっています。登山時間は30分から1時間程度と、気軽に楽しめるのも魅力です。 川津登山口ルート（坂出ルート）、飯野登山口ルート（飯野町ルート）、飯山登山口ルート（飯山ルート）などがあり、それぞれ距離や難易度が異なります。

アクセスは、JR坂出駅、JR丸亀駅からバスや自転車を利用できます。JR丸亀駅からは琴参バスのレオマ宇多津線、丸亀東線を利用できます。また、レンタルサイクルも利用可能です。

飯野山にまつわる歌

飯野山の雄大な姿は、古くから多くの歌人によって詠まれてきました。昭和天皇は「暁に駒をとどめて見渡せば讃岐の富士に雲ぞかかれる」と詠み、西行法師は「讃岐にはこれをば富士といいの山朝げ煙たたぬ日はなし」と、その美しい風景を表現しています。高浜虚子も「稲むしろあり飯の山あり昔今」と、飯野山と人々の生活との関わりを詠んでいます。

まとめ

飯野山は、自然と歴史、そして人々の信仰が織りなす、魅力あふれる山です。手軽に登れる山として、多くの人に親しまれ、その雄大な姿はこれからも讃岐のシンボルとして人々に愛され続けるでしょう。 登山道も整備されており、初心者でも安心して登ることができ、体力づくりにも最適です。ぜひ一度、讃岐富士の絶景を体験してみてください。

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