養竹院

養竹院（ようちくいん）

養竹院は、埼玉県比企郡川島町表に位置する臨済宗円覚寺派の寺院です。常楽山という山号をもち、本尊として薬師如来を祀っています。

歴史

寺院の伝承によれば、室町時代後期の武将、太田道灌の甥で養子であった太田資家が、明応年間に養父である道灌の追福のために建立したとされています。開山には、資家の叔父にあたる円覚寺前住職の叔悦禅懌を迎えました。養竹院という院号は、開基である資家の法名に由来すると伝えられています。境内には、資家とその嫡男である資頼の墓があります。

近年の研究では、太田資家を祖とする「岩付太田氏」が岩付城を本拠地としたのは、資家没後の大永4年（1524年）のことと考えられています。しかし、養竹院周辺は、資家時代から資頼時代初期にかけて、岩付太田氏の拠点であった可能性が高いとされています。

岩付太田氏没落後の天正19年（1591年）、徳川家康から朱印地10石が与えられました。江戸時代に入り、家康の孫である徳川家光は、寛永年間に鷹狩の際に養竹院に立ち寄り、朱印地10石に加え、境内地として1万坪を与えたと伝えられています。

養竹院に所蔵されている開山「叔悦禅師頂相」は、埼玉県の重要文化財に指定されています。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 11』（埼玉県）（角川書店、1980年） ISBN 978-4-040-01110-3
『日本歴史地名大系 11 埼玉県の地名』（平凡社、1993年） ISBN 978-4-582-49011-4
利根川宇平「岩付太田氏の支配」（初出:『川島町史 通史編上巻』（川島町、2007年）/所収:黒田基樹 編『論集戦国大名と国衆12 岩付太田氏』（2013年、岩田書院） ISBN 978-4-87294-797-7）
「表村 養竹院」『新編武蔵風土記稿』 巻ノ188比企郡ノ3、内務省地理局、1884年6月。NDLJP:764005/94。

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