餌差町 (大阪市)

餌差町

大阪府大阪市天王寺区の北東部に位置する餌差町（えさしまち）は、丁目を持たない単独の町として知られています。歴史的な高台と寺町が融合した、多様な顔を持つ地域です。

地理

餌差町は天王寺区の北東端に位置しており、その周囲は様々な町域と接しています。南側は味原本町、北側は空堀町、そして東側は真田山町と隣り合っています。さらに、南東には味原町、北東には玉造本町、南西には城南寺町、北西には空清町と、複雑な境界線を形成しています。

歴史

餌差町の歴史的な成り立ちは、大きく分けて二つの地域に遡ります。町の西部は真田丸跡を含む起伏のある高台であり、かつては東成郡東高津村の一部でした。一方、東部には江戸時代に形成された小橋寺町と呼ばれる寺院の集積地があり、記録によると12ヶ寺が存在していました。

明治時代に入ると、この地域は急速な都市化と行政区画の再編の影響を強く受けます。1873年には、それまで独立していた小橋寺町が、西成郡吉右衛門肝煎地へと編入されました。その後、吉右衛門肝煎地は1882年に清堀村と名称を変えます。1889年の町村制施行時においては、地域は東成郡東平野町の大字東高津と、東成郡に所属が移された清堀村の一部となりました。

1897年には大阪市への編入が実施され、地域は東区に組み込まれ、東平野の大字東高津および清堀となります。そして1900年、東区内で現在の町名である餌差町と小橋寺町に再編成が行われました。さらに、太平洋戦争中の1943年には、大阪市の区の再編に伴い、餌差町は天王寺区へと所属を変更しました。現在の餌差町の正確な町域が確定したのは比較的最近のことで、1965年の町域再編においてです。この時、小橋寺町の全域に加え、隣接する宰相山町、味原町、東高津北之町のそれぞれ一部が餌差町に編入され、今日の範囲が形成されました。

小橋寺町と寺院

餌差町の歴史において重要な位置を占める小橋寺町は、江戸時代から続く寺院の集積地でした。かつては以下の12ヶ寺が存在したと記録されています。

心眼寺
興徳寺
大應寺
伝長寺
本覚寺 - 現在は超善寺・伝光寺と合併して顕祥寺となっており、旧本覚寺の跡地は顕祥寺霊園として利用されています。
西念寺
両岩寺 - 跡地には現在、大阪市立真田山幼稚園が建てられています。
大圓寺
慶傳寺
成道寺
宝国寺
最勝寺

これらの寺院やその跡地は、かつての寺町の面影を今に伝え、地域の歴史的な景観を形作る重要な要素となっています。

現在の餌差町

現在の餌差町には、教育機関をはじめとする公共施設も複数存在します。町内には、明星中学校・高等学校や大阪府立高津高等学校といった中等教育・高等教育機関があり、若者の学びの場となっています。また、前述の大阪市立真田山幼稚園も町内に位置し、地域の幼児教育を担っています。

歴史的な史跡としては、大坂の陣で真田信繁（幸村）が築いたとされる真田丸の跡地が町内にあります。これは餌差町の西部に位置し、戦国時代の歴史に触れることができる重要な場所です。

町の社会経済的な状況を示す情報として、国勢調査による人口や世帯数の推移、経済センサス調査による事業所数と従業員数のデータが存在しており、これらの統計から地域の変化や特性を把握することが可能です。

郵便に関しては、餌差町の郵便番号は〒543-0016であり、天王寺郵便局が集配業務を担当しています。

関連項目

* 餌差町

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