首都高速7号小松川線

首都高速7号小松川線：荒川・中川を渡る都市高架道路

首都高速7号小松川線は、東京都墨田区の両国ジャンクションから江戸川区を経由し、京葉道路へと接続する路線です。全長約5.9kmで、全線が立体交差構造となっています。当初計画と比較して、起終点の変更や延伸が行われ、現在のルートが完成しました。

複雑な地質条件と建設

小松川線は、建設において幾多の困難を克服しています。特に、荒川と中川という2つの河川を渡る橋梁の建設は、大きな技術的課題でした。隅田川沿いの区間では、竪川の上部空間を有効活用した高架構造を採用。川幅が狭く、地盤が軟弱なシルト層であるため、支間40m程度の鋼単純合成桁橋を多数使用し、軽量コンクリート床版を採用することで、下部構造への負担軽減を図っています。また、竪川には製材用の筏が多く係留されていたため、代替水面の手配なども必要となりました。

荒川・中川を渡る区間には、最大支間長160mの斜張橋である荒川大橋が建設されました。この橋は、壮大な景観と高い技術力を誇っています。荒川と中川の間にある背割堤には、1987年に首都高速中央環状線が7号小松川線を跨ぐ形で開通しました。当初は両路線の接続はありませんでしたが、後に小松川ジャンクションが整備され、接続が実現しました。

荒川大橋以東では、地盤が良好であることを利用し、コンクリート製の上部構造や、首都高速道路では初となるピルツ構造（ランプ部分）を採用するなど、様々な工夫が見られます。一之江や春江地区では、宅地見込地の農地が多く、これら土地の評価は首都高速道路公団にとって初めての経験となりました。また、荒川大橋東詰から国道14号にかけての高架両側には、附属街路が整備されています。

線形と交通状況

小松川線は、比較的緩やかな線形で、直線区間が長いことが特徴です。小松川ジャンクションで中央環状線と接続しており、交通の円滑化に貢献しています。しかし、両国ジャンクション付近では、6号向島線との合流や、箱崎・江戸橋ジャンクションなど、複雑な分合流が連続するため、渋滞が発生しやすい区間でもあります。

小松川ジャンクションは、首都高速道路の中期的渋滞対策の一環として整備されました。7号小松川線と中央環状線を連絡する役割を果たしており、同時に小松川出入口も中央環状線からの出入りが可能となるよう改良されました。

歴史

小松川線の歴史は古く、1958年に都市計画が決定され、1967年に着工。1971年に6号向島線の一部開通と同時に全線開通しました。1991年には、首都高速道路では初の試みとなる全面通行止めを伴う大規模な補修工事が行われました。この工事は「首都高リフレッシュ作戦・ルート7」として大々的に広報されました。2015年には、塗装工事中の火災事故が発生し、通行止めとなる事態も発生しています。2019年には、小松川ジャンクションが供用開始されました。

まとめ

首都高速7号小松川線は、複雑な地質条件や様々な困難を克服して建設された、重要な都市高架道路です。その歴史や構造上の特徴、そして交通状況などを理解することで、より深く首都高速道路の役割を認識することができるでしょう。今後の渋滞対策や維持管理のあり方も重要な課題となっています。

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