首露王

首露王（しゅろおう）

首露王は、古代朝鮮の金官加羅国（きんかんからこく）の始祖と伝えられる伝説的な王です。金海金氏（きんかいきんし）の始祖でもあり、その生涯は多くの謎と神話に包まれています。

生誕神話

『三国遺事』に引用された『駕洛国記』によると、首露王は天から降臨した6つの金の卵のうちの一つから生まれたとされています。その誕生日は42年3月3日とされ、他の5つの卵からは5人の王子が誕生し、彼らは共に九干（くかん）と呼ばれる人々に育てられたと伝えられています。この神話は、首露王が単なる人間ではなく、天からの特別な存在であることを示唆しています。

この出来事と関連して、一部の研究者はこの時期に首露王を中心とした国家連合、すなわち六加耶連合（後の新羅の複伽耶会）が成立したと考えています。また、金官国伽倻は、『魏志倭人伝』において狗邪韓国（くやかんこく）として記録されている国であるとされています。

首露王が金の卵から生まれたという伝説は、彼が金姓を名乗る由来となっています。古代朝鮮の始祖や神話上の王には、高句麗の東明聖王や新羅の赫居世居西干、脱解尼師今など、卵から生まれたとする卵生説話を持つ人物が多く見られます。これは、卵が神聖なものであるという北方騎馬民族の信仰と共通する要素と考えられています。

『新増東国輿地勝覧』には、伽耶山の女神である正見母主（しょうけんぼしゅ）と天神『夷毗訶之』（イビガジ）の間に生まれた兄弟、悩窒朱日（のうしつしゅじつ）と悩窒青裔（のうしつせいえい）のうち、弟の悩窒青裔が首露王であり、金官加羅国を建国したと記されています。また、兄の悩窒朱日は伊珍阿豉（いじんあし）または内珍朱智（ないちんしゅち）と呼ばれ、大伽耶を建国したとされています。

さらに、『三国史記』金庾信列伝には、新羅の武将である金庾信が金官加羅国の王家の子孫であり、首露王は少昊（金天氏）の子孫であると記述されています。

治世

『三国史記』の新羅本紀には、102年に新羅の婆娑尼師今（はさにしきん）が、年長で知識豊かな金官国の首露王を召し出し、音汁伐国（おんしつばつこく）と悉直谷国（しっちょくこく）の境界争いを裁定させたという記録があります。

また、『駕洛国記』によると、首露王は42年から199年までの158年間在位したとされています。

王陵

首露王の陵墓は、現在の慶尚南道金海市にあります。

その他

金海天文台のプラネタリウムは、首露王の出生神話に基づいて卵型にデザインされています。

韓国ドラマ『鉄の王 キム・スロ』は、首露王の少年時代から即位するまでを描いた作品で、彼の生涯を興味深く描いています。このドラマでは、首露王が匈奴の一部族である祭天金人族の可汗キム・ユンの息子として生まれたという設定が採用されており、彼の出自に関する新たな解釈が加えられています。

また、匈奴の皇族である日磾（じってい）が、金の像（祭天金人）を祭祀に使用していたという歴史的事実から、金姓が始まったという説も紹介されています。

まとめ

首露王は、古代朝鮮の歴史において重要な人物であり、その伝説的な生涯は現代においても多くの関心を集めています。彼の誕生神話や治世、そしてその後の歴史的影響は、朝鮮半島の歴史と文化を理解する上で欠かせない要素です。彼の物語は、単なる伝説としてだけでなく、古代国家の成立過程や文化交流を示すものとしても、深く考察される価値があります。

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