香住佐代子

香住佐代子：剣戟映画の華麗なる経歴と謎めいた晩年

香住佐代子（かすみさよこ、1917年10月28日 - ）は、日本の映画界を代表する女優の一人である。東京に生まれ、旧制上野高等女学校卒業後の1935年、京都に移り、片岡千恵蔵プロダクションに入社。同社の看板スターである片岡千恵蔵の相手役として映画デビューを果たした。満18歳での華々しい船出であった。

片岡千恵蔵プロダクション時代と日活京都撮影所

デビュー作『黄昏地蔵』で鮮烈な印象を残した香住は、その後も片岡千恵蔵主演の時代劇作品に多数出演。彼女の持ち前の美貌と演技力で、たちまち人気女優の仲間入りを果たす。しかし、片岡千恵蔵プロダクションが解散すると、彼女は同プロダクションのスタッフとともに日活京都撮影所へ移籍。そこで、片岡千恵蔵だけでなく、阪東妻三郎や嵐寛寿郎といった錚々たるスターたちと共演を果たし、幅広い役柄を演じ切った。

特に、1940年に公開された『まぼろし城』三部作での「韋駄天おすみ」役は、彼女の代表作の一つとなり、人気を不動のものにした。

大映京都撮影所時代と結婚、そして引退

1942年、戦時統合により日活京都撮影所は、大映京都撮影所となる。香住佐代子は同社へ移籍し、戦後も活躍を続けた。満30歳を目前にした1947年秋、大映で共演した剣戟俳優の市川朝太郎と結婚。一男をもうけた。夫の市川は、映画監督である加戸敏の実兄でもあった。しかし、結婚から約1年半後の1949年、市川は急逝。香住はしばらくの間、芸能活動を休止する。

1950年には大映東京撮影所に異動し、故郷である東京に戻った。その後は現代劇にも出演するようになり、1961年、大映を退社。同年、『少年ジエット』への出演を最後に、満44歳で芸能界を引退した。

晩年と消息不明

引退後は静かに暮らしていたとされるが、1998年には書籍『美剣士』の企画協力に名を連ね、インタビューにも応じている。しかし、2006年以降、消息が途絶えている。足の骨折をきっかけに連絡が取れなくなったという情報もあるが、詳細不明のまま、彼女の晩年は謎に包まれている。

豊富なフィルモグラフィー

香住佐代子は、片岡千恵蔵プロダクション、日活京都撮影所、大映京都撮影所、そして大映東京撮影所で、数多くの作品に出演。時代劇から現代劇まで、幅広いジャンルで活躍した。彼女のフィルモグラフィーには、現在も現存する作品もあれば、残念ながら失われてしまった作品も多い。貴重な資料に基づき、可能な限り詳細な情報を掲載した。

彼女の演技は、時代劇ファンだけでなく、多くの映画史研究家にも高く評価されている。数多くの名作に貢献した、彼女の功績は、日本の映画史に永遠に刻まれるであろう。

参考文献

『日本映画俳優全集・男優編』 キネマ旬報社
『日本映画俳優全集・女優編』 キネマ旬報社
『芸能人物事典 明治大正昭和』 日外アソシエーツ
『美剣士』 ワイズ出版
* 『映画論叢』通巻9号 樹花舎・国書刊行会

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