香川保一

香川保一（かがわ やすかず）は、1921年5月5日に大阪府で生まれ、2014年6月13日に逝去した、日本の裁判官、弁護士です。位階は正三位、勲等は勲一等であり、その功績は多岐にわたります。

生い立ちと司法への道

大阪府南河内郡三日市村（現在の河内長野市）出身の香川は、1947年に東京大学法学部を卒業後、司法試験に合格しました。1949年には裁判官に任官され、法曹界でのキャリアをスタートさせました。

法務省での要職

1950年には法務省に転官し、民事局第一課長、大臣官房秘書課長、訟務部長、官房長、民事局長など、数々の要職を歴任しました。これらの経験は、後の裁判官としての活動に大きな影響を与えました。

裁判官としてのキャリア

1979年に浦和地方裁判所所長に就任したのを皮切りに、東京高等裁判所部総括判事、札幌高等裁判所長官、名古屋高等裁判所長官を歴任しました。1986年には最高裁判所判事に任命され、数々の重要な裁判に関わりました。

最高裁判所での主な裁判

香川が最高裁判事で関わった主要な裁判としては、「自衛官護国神社合祀事件」や「法廷メモ訴訟」などが挙げられます。

自衛官護国神社合祀事件：自衛官の遺族と隊友会山口県支部連合会などが争ったこの裁判では、最高裁判事の意見が分かれる中、香川は多数意見側に加わりました。判決は遺族の敗訴となりました。
法廷メモ訴訟：ローレンス・レペタが国家賠償法に基づき損害賠償を求めたこの裁判では、香川は多数意見側に加わり、レペタの上告を棄却しました。
森林法共有林事件：共有林分割請求制限を規定した森林法第186条を違憲とする多数意見に対し、香川は合憲とする反対意見を述べました。
サンケイ新聞事件：『サンケイ新聞』の意見広告を巡る裁判では、最高裁判所第二小法廷の裁判長として、日本共産党の上告を棄却しました。
麹町中学校内申書事件：内申書を巡る裁判では、第二小法廷の裁判長として、保坂展人の上告を棄却しました。
TBSビデオテープ押収事件：第二小法廷の陪席裁判官として、東京放送の特別抗告を棄却しました。

裁判官退官後

1991年に裁判官を退官した後は弁護士として活動しました。また、社団法人民事法情報センターの理事長を務めましたが、同センターの運営を巡る問題点が国会などで指摘され、最終的に解散に至りました。

民事法情報センターを巡る問題

2010年4月、民主党による「事業仕分け」の事前調査で、民事法情報センターが理事会での議論を経ずに香川に対し、無利子・無担保・無期限で1500万円を貸し付けていたことが発覚しました。この問題が明るみに出たことを受けて、香川は全額を返金しました。また、同センターが理事長である香川の報酬を月額50万円から月額100万円に増額していたことや、センター内に香川の弁護士事務所が設置されていたことも問題視されました。これらの問題を受け、当時の千葉景子法相は民事法情報センターの存廃について検討すると答弁しました。

栄典と晩年

香川は1993年に勲一等瑞宝章を受章しました。2014年6月13日に逝去し、叙正三位となりました。香川保一の生涯は、日本の司法界において重要な足跡を残しました。

外部リンク

* 社団法人民事法情報センター（解散済み）

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