香港攻略 英國崩るゝの日

映画『香港攻略 英國崩るゝの日』の概要

『香港攻略 英國崩るゝの日』は、1942年に大日本映画製作会社によって制作された戦争映画であり、国策映画としての役割を果たしました。この映画は、大東亜戦争の様々な作戦が映画化された時期に制作され、特に日本の軍部の指導のもとで制作されたことが特徴です。

制作背景

1942年、戦争の影響を受けて、映画制作界でも日本が展開している作戦を基にした映画の製作が進められました。ビルマ作戦は松竹により、フィリピンのコレヒドール要塞攻略戦は東宝でという形で各社が役割分担をしました。また、この年には日活、新興キネマ、大都映画の三社が合併して大映が設立され、マレー作戦や香港の戦いに焦点を当てた作品が制作されることとなりました。特に、映画の舞台である香港では、1941年12月に日本軍とイギリス軍の間で激しい戦闘が繰り広げられ、その後日本がこの地域を統治することになりました。

本作は、開戦前の1941年11月から日本による香港の占領、さらには入場式までの一連の出来事を描写しています。戦争記録フィルムと劇場シーンを組み合わせた映像技法が使用され、香港の実際の地形で撮影されました。南支派遣軍の協力のもと行われたこの撮影には、軍の司令官である栗林忠道が関与しており、撮影にあたって戦車や自動車の炎上などが実施されました。また、香港からの俳優も来日してスタジオ撮影が行われ、東京や箱根でもロケーションが行われています。

あらすじ

物語は、主人公である北沢献介少尉が深圳国境に駐留しているところから始まります。彼は偶然再会した従軍記者の藤本から香港攻撃の話を聞かされ、動揺します。北沢には香港で母親や弟、弟の許嫁、親日的な中国人の友人、そして彼に恋心を寄せる女性がいます。彼の家庭は、香港島のスタンレー刑務所に捕らえられている状態でした。

12月8日、日本軍による香港攻撃の指令が下ります。北沢は部隊と共に守備拠点を突破し、九龍へむかいます。母と弟が危険な状況に置かれている中、北沢小隊は苦境を乗り越え、香港島への上陸作戦に成功。その後、スタンレー監獄に捕らえられた邦人の救出活動に従事しますが、戦闘の中で負傷を負います。

最終的に戦闘は終了し、香港では大規模な入場式が行われます。北沢の母は彼の死を思い、しんみりとした場面が描かれますが、その最中、北沢は意識を取り戻します。香港は静けさを取り戻し、彼は港から去る仲間たちを見送り、日章旗が掲げられる光景で物語は締めくくられます。

キャスト

映画には多彩なキャストが出演しています。北沢献介役には永田靖、藤本役には水原洋一が抜擢され、母役には杉村春子が演じました。弟の功介は宇佐美淳が演じ、吉岡早苗役には黒田記代が選ばれています。香港人キャストとしては、梁明志演じる眞木順や梁紅蓮役の紫羅蓮も名を連ねています。

評価

公開後、映画は様々な評価を受けました。朝日新聞は現地軍の力や敵前上陸の描写などを高く評価しましたが、キャラクターの描写に関してはコメントが分かれました。一方、映画評論家の筈見恒夫は比較的好意的に評価し、当時の他の戦争映画と比べて個人的なドラマの要素がしっかりと絡んでいる点を指摘しました。また、映画の保存に関しては、東京国立近代美術館フィルムセンターには36分の上映用プリントが現存しています。

本作は戦争映画として歴史の一端を描き出しており、当時の日本と香港の関係を考察する上でも重要な作品と言えるでしょう。

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