宇佐美淳

宇佐美 淳の足跡

宇佐美 淳（うさみ じゅん、1910年9月1日 - 1980年5月9日）は、日本の映画・テレビ界で活躍し、多くの作品でその名を馳せた俳優です。本名を駒木 五郎という彼は、岩手県二戸郡姉帯村に生まれ育ちました。彼の俳優としてのキャリアは、1937年に新興キネマに入社することで始まります。ここから彼は、小さな役から始まり、着実にキャリアを積み重ねていきました。

東京農業大学を中退後、明治大学を卒業した宇佐美は、一度は松尾自動車会社に就職しましたが、彼の本当にやりたいことが映画だったのです。新興キネマでの経験を通じて、彼は二枚目スターとしての地位を確立し、その後は大映、松竹、東映などの各社で多数の映画に出演しました。彼の俳優人生は、1940年代から1980年代までの約40年にわたり、多岐にわたります。

特に、1960年代以降は脇役にも転身し、映画の中で多様な役割を演じていました。彼は特撮作品にも積極的に参加し、科学者役や老紳士役としての姿が特に記憶に残ります。また、政財界の黒幕という重厚な役柄でも知られ、俳優としての幅広い表現力が評価されました。

宇佐美の演技については、共演者からも高い評価を受けていました。特に、特撮テレビドラマ『ミラーマン』での石田信之との共演において、石田は「昔気質で潔癖な方」と宇佐美を評価しました。また、工藤堅太郎も「穏やかだが頑固さを持った方」と語っています。これらのエピソードは、彼がただの俳優ではなく、個性的な人間であったことを物語っています。

宇佐美は1970年代以降、テレビドラマへと活躍の場を移し、さまざまな作品に出演しました。国民的な作品からマイナーなものまで、彼の役は非常に幅広く、その多才さが際立つ結果となりました。特に『水戸黄門』へ出演した際は、広く知られる役となり、視聴者に愛されたキャラクターの一人となりました。

彼の生涯は、1980年に脳出血のために69歳で終わりを迎えましたが、その後も2010年には「俳優 宇佐美淳 生誕100年記念」イベントが催され、彼の偉大な業績が再評価されています。

また、家族についても触れておくべきでしょう。妻の英子は岩村通俊の孫であり、彼らの子孫として、女優やモデル、リポーターとして活躍する孫娘・駒木宏美が存在しています。

主な出演作品

宇佐美淳のキャリアは多岐にわたりますが、特に以下の作品が代表的です。

• - 映画

- 『貧しき者の幸福』（1938年、新興キネマ）
- 『若い力』（1939年、新興キネマ）
- 『晩春』（1949年、松竹）
- 『無法松の一生』（1963年、東映）
- 『トラ・トラ・トラ!』（1970年、20世紀フォックス）

• - テレビドラマ

- 『隠密剣士』（1963年、TBS）
- 『水戸黄門』（1969年 - 1975年）
- 『ミラーマン』（1971年 - 1972年、CX）
- 『太陽にほえろ!』（1974年、NTV）

彼の多彩な演技は、今も多くのファンに惜しまれ、彼の作品は語り継がれています。宇佐美淳は、日本のエンターテインメント界において、まさに一時代を画した名優と呼ぶにふさわしい存在なのです。

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