香西隆男

香西 隆男の生涯と業績

香西 隆男（こうざい たかお、1937年7月20日 - 2024年4月29日）は、日本を代表するアニメーターおよびキャラクターデザイナーであり、香川県出身である。東京芸術大学で学びながら、アニメの世界に飛び込んだ彼は、多くの名作アニメを手掛けてきた。

学校教育と音楽への道

香西は初めて漆職人を目指し、高松工芸高等学校に入学した。しかし、漆に対するアレルギー反応が出たため、最終的には東京芸術大学の彫刻科に進学することとなった。大学卒業後は、東映動画（現：東映アニメーション）に入社。アニメについての知識が乏しいまま入社した彼は、実写映画のスタッフを志しながらも、アニメ映画『西遊記』を経てアニメーターとしてのキャリアをスタートさせた。

ハテナプロの設立とスタジオジュニオの方針

1964年、東映動画を退社した香西は、永樹凡人や我妻宏、小泉謙三らと共にハテナプロを設立。ここでは、アニメ『魔法使いサリー』において作画を担当し、アニメ業界での位置を確立させていく。その後、1969年にはスタジオジュニオを設立し、作品の制作を重ねながら、やがてはテレビアニメ『マシンハヤブサ』『花の係長』『新・巨人の星』や『おはよう!スパンク』などの作画監督およびキャラクターデザイナーとして名を馳せることとなる。

1980年代までに400本以上の作品に携わり、その多くで総作画監督やキャラクターデザインに従事した。特に1974年から始まった『はじめ人間ギャートルズ』は、彼のキャリアの一つのピークとも言える作品であった。だが、香西は自身のキャラクターを描きたくてこの業界に入ったため、テレビアニメ業界での仕事が漫画家のスタイルを模倣するものになってしまうことに不満を持っていた。

学校向けアニメと教育活動

そのため、1981年以降は、教育用の短編アニメ制作に力を入れることに決め、1979年の『ごんぎつね』からは自身のキャラクターを用いる作品を作ることで自己表現の場を広げた。

しかし、スタジオジュニオの経営は厳しく、1997年の『白鯨伝説』や1999年の『ガンドレス』の未完成事件が影響して、香西は経営者として責任を負うことに。最終的にはジュニオは「ジュニオ ブレイン トラスト」と名称を変えたものの、活動再開には至らなかった。

教育者としての役割と個人的な創作活動

2006年から2010年まで、宝塚造形芸術大学にてアニメーション科の教授を務め、次世代のアニメーターを育成するためのプログラムに携わった。また、アニメ業界への貢献として、若いアニメーター志望者への指導を行うA・Jアニメ工房のアドバイザーも務めた。

その後、再びアニメ業界に関わり、かつての教え子が立ち上げた「株式会社K・N日本アニメ企画」の会長に名を連ねたが、実際の制作活動には制約があった。2021年現在では、主に個人的な創作としてイラスト制作やアニメーションに取り組んでいる。

主な参加作品

香西隆男の業績は数多く、代表的な作品には『宇宙パトロールホッパ』（作画監督・作画）、『魔法使いサリー』（作画監督）、『どうぶつ宝島』（原画）、『花の係長』（作画監督）、『おはよう!スパンク』（作画監督）などが挙げられる。彼のタッチとセンスは多くのアニメに影響を与え続けており、その業績は、アニメ業界において色褪せることのない金字塔となっている。

香西のアートと教育活動は、今後も多くの若手アニメーターたちに影響を与え続けるだろう。

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