馬政第二次計画

日本における馬政第二次計画の概要

日本の馬の品種改良を目的として、農林省馬政局は1936年から1945年までの間に馬政第二次計画を実施しました。この計画は、1906年に開始された馬政第一次計画を基にしています。第一次計画が1936年3月に終了したことから、継続的な取り組みとして同年4月1日から新たな計画がスタートしました。元々、この計画は30年間の実施を目指しましたが、太平洋戦争の影響により1945年に終了しました。

計画の目的

馬政第二次計画の主な目的は、国防上有能な馬を確保し、国内の馬産を保護しつつ、品種改良を進めることでした。具体的には、以下のような施策が計画されました：

• - 国が保有する馬の種別に応じた区分を設ける。
• - 馬の体型を整理し、品種を固定する。
• - 種牡馬の必要数を6,000頭とし、その半数を国有とする。

第一期計画

1936年度から1945年度の10年間は第一期計画とされました。その内容は次の通りです。

• - 内地における馬匹の保有頭数は150万頭とし、その内訳は乗馬40万頭、挽馬20万頭を目指す。
• - 海外から輸入する馬の種類には制限があり、軽種にはアングロアラブ、アラブ種、サラブレッド、中間種にはアングロノルマン、重種にはペルシュロンを指定しました。
• - 国有種牡馬の必要数は6,000頭として、そのうち15%を軽種、85%を中間種、残りを重種とすることが決められました。

計画の修正

日中戦争の勃発により、軍馬の需要が増加し、多くの馬が戦場に送られました。この状況を受け、日本陸軍は農林省に対して以下のような要望を出しました。

1. 優良な軍馬を生産するため、種牡馬を全て国有化し、繁殖牝馬への保護奨励策を講じる。
2. 戦場に送るべき軍用適格馬を選定し、その保護と訓練を行う。
3. 競馬において、軍馬資源を確保するため出走馬を種牡馬または軍馬の資格を持つ馬に限定する。
4. 海外領土においても軍馬資源の生産に向けた対策を講じる。

このような背景の中で、翌年には「内地馬政計画及び実施要領」が策定され、戦時を意識した内容に改められました。具体的には、必要とされる馬は従来の乗馬や挽馬に加え、戦列駄馬も含めるように生産体制が見直されました。

計画の成果

馬政第二次計画に関連して、馬の生産頭数は従来の約12万頭から1943年には約18万頭に増加しました。また、国内の種牡馬の数も1942年には6,000頭を超え、国有種牡馬の割合は年々増加していきました。

関連施策

計画に並行して、1936年には競馬法が改正され、日本競馬会が発足しました。これにより、11の競馬倶楽部が統合され、公正な競馬の実現が目指されました。また、1923年に廃止された馬政局も復活し、農林省の外局として機能を再開しました。

さらに、当時の日本が統治していた朝鮮、台湾、樺太においても馬産を考慮し、内地との総合的な馬政を目指した施策が行われました。

参考文献

• - 武市銀治郎 『富国強馬 ウマからみた近代日本』講談社、1999年

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