馬鹿まるだし

映画「馬鹿まるだし」について

「馬鹿まるだし」（ばかまるだし）は、1964年に松竹によって制作された映画で、監督は山田洋次が務めています。この作品は、彼が手掛けた「馬鹿シリーズ」の第一弾であり、後に続く作品群に大きな影響を与えました。

概要

映画の中心人物である安五郎を演じるのは、当時注目を集めていた俳優ハナ肇です。彼はその後、山田洋次監督の作品において欠かせない存在となり、特に『男はつらいよ』シリーズでの活躍が知られています。撮影監督には高羽哲夫が起用され、彼とのコンビネーションが映画のクオリティを高める要因となりました。クレージーキャッツのメンバーが多く出演しており、ユーモアと人間ドラマが絶妙に交錯しています。

ストーリー

物語は、瀬戸内の小さな町が舞台です。シベリアから帰還した安五郎は、淨念寺に転がり込み、住職の長男の妻である夏子に一目惚れします。安五郎は徐々に町のボスへと成長し、労働争議や町の問題に立ち向かう姿を描いています。しかし、彼の勢力を脅かす反対派の存在により、町の住民の目は冷たくなり、最終的には淨念寺への出入りも禁止される事態に追い込まれます。

そんな時、町で誘拐事件が発生します。この事件は安五郎にとって名誉挽回のチャンスに思えました。彼は誘拐犯を追うことになりますが、その過程で様々な試練や人間関係の葛藤に直面します。物語は、彼の成長や友情、そして人間の愚かさを描き、観客に笑いと感動をもたらします。

スタッフ

この映画のスタッフには多くの才能ある人物が揃っています。監督である山田洋次の他、脚本は加藤泰と山田洋次が共同で執筆しており、原作は藤原審爾の「庭にひともと白木蓮」を基にしています。また、映像を鮮やかに彩る美術は佐藤公信、音楽は山本直純が担当し、作品全体の雰囲気作りに寄与しています。その他の主要なスタッフには録音の松本隆司、編集の浦岡敬一などが名を連ねています。

キャスト

映画には多くの個性的なキャストが登場します。安五郎を演じるハナ肇のほか、夏子役には桑野みゆきがキャスティングされ、八郎役は犬塚弘、伍助役は桜井センリがそれぞれ演じています。また、他にも多くのキャラクターが物語に深みを与えています。それに加え、特別出演として藤山寛美や渥美清も登場し、見る人を楽しませます。

テレビドラマ版

この映画は後にテレビドラマ版としても制作されました。『ハナ肇の「馬鹿まるだし」』というタイトルで、1964年9月28日から11月16日まで放送され、ハナ肇と共に植木等や谷啓、藤田まことなども出演しました。このドラマ版は、映画とは異なる形でキャラクターたちの魅力を引き出し、さらに多くのファンを獲得しました。

「馬鹿まるだし」は、その名の通り笑いに満ちた作品でありながら、深い人間ドラマが横たわっていることから、今なお多くの人に愛されている映画です。

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