馬麒

馬麒（ば き）について

馬麒は、清末から民国期にかけての軍人で、寧海軍を指揮し民国時代の馬家軍の土台を築いた重要な人物です。彼は回族に属し、弟の馬麟、子の馬歩青と馬歩芳とともに家族で軍の運営を行いました。

人物・生涯

清末から辛亥革命まで

馬麒は、武官であった父の馬海宴の影響を受け、武科生員としての道を歩みました。1894年（光緒20年）には父と共に董福祥の指揮する甘軍に加わり、義和団の乱に従軍しました。その後、首都に駐留し、西太后の警護などを担当しました。

辛亥革命が1911年（宣統3年）に勃発すると、馬麒は馬安良が指揮する「精鋭西軍」の一員として陝西革命軍の討伐に向かいますが、途中で寧夏で革命軍の蜂起に直面しました。結果的に、馬麒は革命軍を討伐し、寧夏軍政府を壊滅に追い込みました。

1912年には民国が成立し、馬麒は馬安良と共に蘭州に駐屯しましたが、その高圧的な統治に対し甘粛省臨時参議会から批判を受けます。馬麒は指示に従い議長を暗殺するが、この事件の後も甘粛都督は無策でした。同年8月、馬麒は北京政府から西寧鎮総兵に任命され、さらには青海蒙番宣慰使へと昇進しました。

青海統治権の確立

1914年（民国3年）には青海南部での土地帰属を巡って四川省との紛争が勃発。馬麒は現地のチベット族の要望を受け、北京政府に境界画定を要請します。これにより土地の帰属を西寧に決定し、四川軍を撤退させました。これによって、馬麒は青海の西部や南部に勢力を築いたのです。

翌1915年には、対立していた青海弁事長官の廉興を罷免に追い込み、その後『寧海軍』を編成して弟の馬麟や子の馬歩青、馬歩芳などを起用しました。彼は毛皮や塩などの地元特産物を利用して軍の強化を図り、宗社党の反乱やチベット族の降伏を通じて権力を強化しました。その傍ら、民政の充実を進め、アヘン栽培の禁止やインフラ整備に取り組み、地域社会の発展にも寄与しました。

北伐以後の動向

1927年（民国16年）には中国西北部の勢力拡大を目指す馮玉祥が国民革命軍を組織し、馬麒はその暫編第26師の指揮官に任命されます。1928年には高樹勲率いる軍が西寧に進軍し、馬麒は抵抗せずに権力を譲渡しました。1929年には青海省政府が成立し、馬麒は省政府委員となり、その後代理省政府主席を務めることになりました。ついに彼は蔣介石を支持し、その後も安定した地位を保ち続けました。

1931年に西寧で死去した際には、63歳でした。彼の生涯は、技術と胆力を駆使し、戦乱の時代にあっても地域社会の発展に尽力したものでした。

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