馬歩芳

馬歩芳：青海を支配した軍閥の生涯

馬歩芳（ば ほほう、1903年 - 1975年）は、中国の激動期に青海省を支配した回族の軍閥、馬家軍の有力者です。その権勢から「青海王」とも呼ばれました。父は寧海軍を創設した馬麒で、馬歩芳はその後継者として、軍事力と政治力を背景に青海省を支配しました。

生涯

1936年、馬歩芳は蔣介石の命を受け、兄の馬歩青と共に、中国共産党の勢力拡大を阻止するため、紅軍と戦いました。この戦いで、馬歩芳は紅軍の殲滅に成功し、その名を高めました。

1938年、馬歩芳は国民党の支持を得て、叔父の馬麟を失脚させ、青海省の主席（知事）の座を手に入れました。これにより、馬歩芳は名実ともに青海地方の支配者となり、1949年に中国共産党に敗れるまでその地位を維持しました。この間、馬歩芳は自身の勢力圏内での対立を避けるため、甥の馬仲英を甘粛や新疆など他の地域での活動を支援しました。

宗教面では、馬歩芳はサラフィー主義を異端として弾圧し、イフワーン派を優遇しました。また、ウイグル族による東トルキスタン独立運動には一貫して反対しました。

1949年、中国人民解放軍が蘭州を占領すると、馬歩芳は重慶、香港へと逃れました。その後、蔣介石から中国人民解放軍との抗戦を促されますが、彼はメッカ巡礼を理由にサウジアラビアへ亡命しました。1950年には、賄賂を使ってパスポートを入手しエジプトへ移動しました。その後、エジプトと中華人民共和国との国交樹立を受け、馬歩芳は中華民国駐サウジアラビア大使として赴任しました。しかし、1961年には姪を側室にしていたことが発覚し、大使を辞任。その後、台湾に戻ることなくサウジアラビア市民となり、1975年に同地で亡くなりました。

馬歩芳は多くの側室を持ったとされますが、息子は軍の指揮官となった馬継援一人でした。

年譜

1931年 - 1934年：国民革命軍新編第9師師長
1934年 - 1938年：国民革命軍新編第2軍軍長、第100師師長
1938年 - 1949年：青海省主席
1938年 - 1941年：第82軍軍長
1943年 - 1945年：第40集団軍総司令

馬家軍とは

馬家軍とは、中国西北地方で勢力を誇った回族の軍閥です。馬歩芳は、その一員として、青海省を支配し、その影響力を地域に及ぼしました。彼らの支配は、複雑な政治的、宗教的な状況と密接に結びついていました。

参考文献

劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。

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