馮雲山

馮雲山（ふう うんざん）

馮雲山（Féng Yúnshān、1815年頃 - 1852年6月3日）は、太平天国の初期における重要な指導者の一人であり、南王に封ぜられました。彼は洪秀全の最も早い支持者の一人であり、拝上帝会の創設者としても知られています。

生い立ちと初期の活動

馮雲山は広東省広州府花県禾落地村の出身で、客家の小地主でした。彼は、洪秀全が提唱する新しい宗教思想に共感し、最も初期からの支持者となりました。1844年から洪秀全と共に広西省で布教活動を開始し、この活動が後の太平天国へと繋がる大きな転換点となります。洪秀全が広東省に戻った後も、馮雲山は広西省に残り、紫荊山や金田村周辺で精力的に布教活動を続けました。この地で楊秀[[清]]、蕭朝貴、韋昌輝、石達開、秦日綱といった後の太平天国の主要人物たちが次々と拝上帝会に入会しました。

1847年、洪秀全が再び広西省に到着した際には、拝上帝会の規模はすでに大きなものとなっていました。これは馮雲山の地道な布教活動の成果であり、太平天国成立への重要な基盤となりました。

逮捕と釈放、そして太平天国での活躍

1848年、馮雲山は清朝の官憲に逮捕されます。しかし、拝上帝会の信者たちが賄賂を渡すことで、彼は釈放されました。この事件は、拝上帝会の組織力と財力を示すものであり、同時に清朝の腐敗を露呈するものでもありました。

釈放後も、馮雲山は拝上帝会の発展に尽力し、1851年の金田蜂起を迎えます。蜂起後、彼は後軍主将、そして南王に封ぜられました。この地位は彼の軍事的な手腕と組織運営能力を高く評価したものでしょう。

太平天国の初期における官制、軍制、暦法は、馮雲山が定めたとされています。これは彼の行政能力や、太平天国全体のシステムを構築する上での中心的役割を示すものです。太平天国の基盤を作った人物と言っても過言ではないでしょう。

最期

1852年5月、馮雲山は全州攻略中に清軍の砲撃を受け重傷を負いました。全州を陥落させたものの、その傷が原因で6月10日に亡くなりました。彼の死は太平天国にとって大きな損失であり、初期の指導者の一人が失われたことは、その後の戦局にも影響を与えたと考えられます。

評価

馮雲山は、太平天国の創設期において、洪秀全を支え、教義の普及や組織の拡大に尽力した重要な人物です。彼の存在がなければ、太平天国はこれほどの規模にはならなかった可能性もあります。南王としての軍事的な活躍や、制度構築への貢献も大きく、太平天国の歴史において、決して忘れることのできない人物です。


[外部リンク]
* 『馮雲山』 - コトバンク

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