韋昌輝

韋昌輝（い しょうき）

韋昌輝は、19世紀中頃の中国で発生した太平天国の指導者の一人です。彼は、天王洪秀全から北王に封ぜられ、「六千歳」と称されました。チワン族出身で、1823年または1826年に広西省潯州府桂平県で生まれました。

生い立ちと太平天国への参加

韋昌輝は富農の家庭に育ち、科挙での立身を目指して何度も受験しましたが、成功しませんでした。1848年、彼は洪秀全が創設した拝上帝会に入会し、多額の寄進を行いました。1851年に拝上帝会が金田蜂起を起こすと、韋昌輝は右軍主将、そして北王として軍を率いることになります。

天京での活動と東王との対立

1853年、太平天国軍は南京を攻略し、そこを天京と改称しました。韋昌輝は天京の防備を担当しましたが、太平天国の実権を握っていた東王楊秀清との関係が悪化し始めます。楊秀清は、太平天国の実質的な指導者として権力を振るい、韋昌輝との間に不和が生じました。

天京事変

1856年、韋昌輝は天王洪秀全の密勅を受け、燕王秦日綱と協力して東王府を襲撃しました。この襲撃で楊秀清とその一党は殺害され、その数は2万人にのぼると言われています。しかし、この虐殺は太平天国に大きな混乱をもたらしました。翼王石達開が天京に戻り、死者の多さを非難したため、韋昌輝と石達開は対立することになります。

石達開は天京を脱出しましたが、韋昌輝は石達開の一族を殺害しました。この行為は、太平天国内部でさらなる対立を生み出し、石達開は安慶で韋昌輝討伐の兵を挙げました。太平天国軍の大部分が石達開を支持したため、天王府の兵と東王府の残党によって韋昌輝は殺害され、彼の爵位は剥奪されました。この一連の事件は「天京事変」として知られています。この事変は、太平天国の内部分裂を深刻化させ、その後の衰退を加速させる要因となりました。

韋昌輝の生涯は、太平天国の興隆と内紛という激動の時代を象徴しており、彼の行動は太平天国の歴史における重要な転換点の一つとなっています。

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