駒込 (東京都)

駒込（こまごめ）

駒込は、東京都の豊島区東部から文京区北部にまたがる広域地名です。古くは「こまごみ」とも呼ばれていました。

概要

駒込は武蔵野台地の東部、本郷台地の一部に位置しています。文京区側の駒込は「本郷の駒込」という意味で本駒込とも呼ばれます。古くから農村開発が進められていましたが、江戸時代に入ると江戸城に近いことから徐々に町場を形成しました。寺院や武家屋敷も設けられ、大名庭園である六義園は柳沢吉保の下屋敷がその起源です。近代以降は鉄道が開通し宅地化が進み、現在では主に中低層の住宅街が広がっています。

現在の該当町域

豊島区 - 駒込
文京区 - 本駒込、千駄木、向丘、西片

地名の由来

駒込の地名の由来にはいくつかの説がありますが、いずれも確定的ではありません。

日本武尊が東征の際、近くの林にいる味方の軍勢を見て「駒こみたり」と発言したことから、素盞烏山（いるさやま）から駒込林に改めたという説（『御府内備考』『江戸砂子』など）。
馬牧（馬の放牧場）があり、馬（駒）が群がっていたからという説（『新編江戸志』など）。
渡来人である高麗人が住み、高麗籠が転化して駒込となったという説（出典不明）。

歴史

当地では縄文時代・弥生時代の遺跡が多数発掘されており、古くから人々の生活があったことがわかっています。地名としての駒込が確認できる最も古い記録は、戦国時代に作成された『小田原衆所領役帳』です。

江戸時代には豊島郡岩淵領に属し、駒込村と称されていました。文政13年（1830年）の『新編武蔵風土記稿』では上駒込村と下駒込村に分けて記載されています。農村部は幕府領、麟祥院領、伝通院領に分かれていました。江戸城に近く、日光御成街道が開かれるなど交通の便も良かったことから町場が形成されました。

1868年4月18日、本郷から発生した火災が駒込に延焼し、水戸藩邸などが焼失しました。

明治時代以降は市街地化・近代化が進みました。明治元年に豊島郡は東京府に所属し、明治11年に豊島郡が南北に分かれると、駒込の大部分は北豊島郡に所属することになりました。上駒込村域は明治22年に北豊島郡巣鴨町の大字上駒込となり、下駒込村域は明治22年に大部分が本郷区に所属し、一部は下谷区の谷中初音町に合併しました。明治24年には本郷区下駒込が本郷区内の駒込各町に分裂しました。明治43年には山手線の駒込駅が開業しました。昭和7年の東京市編入により、巣鴨町上駒込は豊島区駒込となりました。昭和22年に本郷区は小石川区と合併して文京区となり、昭和40年前後に住居表示が実施され、文京区内の駒込各町は本駒込・千駄木・向丘・西片などに再編されました。

廃止された町名

文京区

駒込曙町：明治2年成立。昭和41年より本駒込の一部。
駒込浅嘉町：江戸期成立。昭和40年・41年より本駒込・向丘の一部。
駒込追分町：江戸期成立。昭和39年・40年より向丘の一部。
駒込片町：江戸期成立。昭和41年より本駒込の一部。
駒込上富士前町：江戸期成立。六義園は当地に所在。昭和41年より本駒込の一部。
駒込吉祥寺町：明治2年成立。吉祥寺は当地に所在。昭和41年より本駒込の一部。
駒込肴町：江戸期成立。昭和39年・40年より向丘の一部。
駒込四軒寺町：江戸期成立。明治5年に駒込蓬莱町に合併。現在の向丘の一部。
駒込神明町：明治24年に起立。駒込天祖神社・駒込富士神社は当地に所在。昭和39年・41年より本駒込の一部。
駒込千駄木坂下町：江戸期成立。明治44年に駒込坂下町に改称。昭和40年より千駄木の一部。
駒込千駄木下モ町：江戸期成立。明治4年に駒込千駄木町に合併。現在の千駄木の一部。
駒込千駄木町：江戸期成立。昭和40年より千駄木・向丘の一部。
駒込千駄木林町：明治2年に成立。明治44年に駒込林町に改称。昭和40年より千駄木の一部。
駒込動坂町：明治24年に起立。駒込病院は当地に所在。昭和41年より千駄木・本駒込の一部。
駒込西片町：明治5年成立。昭和40年より西片の大部分。
駒込東片町：明治2年成立。昭和39年より向丘・西片の大部分。
駒込富士前町：江戸期成立。昭和41年より本駒込の一部。
駒込蓬莱町：明治5年成立。昭和40年より向丘の一部。
駒込三ツ家町：江戸期成立。明治2年に駒込追分町に編入。現在の向丘の一部。

豊島区

駒込三軒屋町：江戸期成立。明治2年に駒込松吉町に改称。明治5年に駒込妙義坂下町に合併。現在の豊島区駒込の一部。
駒込七軒町：江戸期成立。明治2年に駒込染井町に改称。明治22年に巣鴨町の大字駒込染井となる。昭和7年より豊島区駒込の一部。
* 駒込妙義坂下町：江戸期成立。明治22年に巣鴨町の大字駒込妙義坂下町となる。昭和7年より豊島区駒込の一部。

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