駿河国分寺

駿河国分寺

駿河国分寺は、静岡県静岡市葵区長谷町に位置する真言宗醍醐派の寺院です。山号を龍頭山と称し、本尊には地蔵[[菩薩]]を祀っています。この寺院は、奈良時代に聖武天皇の詔によって日本各地に建立された国分寺の一つ、駿河国分寺の後継寺院であると伝えられています。

概要

駿河国分寺は、静岡市の中心部に位置し、駿河国総社である静岡浅間神社の東方約450メートルの場所にあります。古代における駿河国分寺の正確な所在地は確定していませんが、中世にはこの地域に「国分寺」を称する寺院が存在していたことが知られています。ただし、その法統関係は明確ではありません。

1242年（仁治3年）の記録には「惣社并国分寺云々」とあり、この頃には総社（静岡浅間神社）の近くに国分寺が存在していたと考えられています。その後も、1530年（享禄3年）の朱印状や、1556年（弘治2年）の『言継卿記』にも記述が見られます。これらの史料から、国分寺の子院であった龍池山千灯院（泉動院/仙憧院）が事実上、国分寺を継承したと考えられています。

江戸時代を通じて、この地には「国分寺」を称する寺院が存在しており、現在の駿河国分寺はその流れを汲むものとされています。

駿河国分寺跡

創建当時の国分寺の正確な位置は、現在も特定されていません。しかし、最も有力な候補地として挙げられているのが、静岡市駿河区大谷にある片山廃寺跡です。この遺跡は国の史跡にも指定されており、北緯34度57分51.23秒、東経138度25分35.84秒に位置しています。

片山廃寺では、かつて塔跡が発見されていなかったため、国分寺ではなく、地方豪族の私寺であるという説もありました。しかし、2009年（平成21年）の調査によって塔跡と推定される版築が見つかり、国分寺である可能性が高まっています。

片山廃寺を国分寺跡としない説では、静岡市葵区長谷町や駿府城内東北部が国分寺跡の候補地として挙げられています。

また、菩提樹院の境内には、国分寺の遺構とする説のある塔心礎が伝わっており、「伝駿河国分寺の塔心礎」として静岡市指定文化財に指定されています。この心礎は、1771年（明和8年）に駿府城代の武田信村によって駿府城三の丸城代屋敷内の社の手水鉢として奉納されたとされています。元々どの寺院で使用されていたかは不明ですが、舎利穴の大きさは甲斐や伊豆の国分寺とほぼ同じです。この心礎は、1930年（昭和5年）に日本赤十字社静岡支部の庭で発見され、1953年（昭和28年）に国分尼寺の後裔とされる菩提樹院に寄進されました。

駿河国分尼寺

国分尼寺についても、創建時の位置は明らかになっていません。1441年（嘉吉元年）に太田道灌が書いたとされる『慕景集』には「国府尼寺菩樹院」と記されており、後継寺院は静岡市葵区沓谷の正覚山菩提樹院であると考えられています。ただし、この説を裏付ける確固たる証拠はありません。

菩提樹院の寺伝によれば、武田氏の駿河侵攻によって兵火を受け、1573年から1592年（天正年間）頃に駿府城の西方に再興されたとされています。この再興された場所は現在の常磐公園付近にあたりますが、1940年（昭和15年）の大火で焼失し、現在の場所に移転しました。

菩提樹院の境内には、前述の通り、国分寺のものと伝えられる塔心礎が残されています。

脚注

[参考文献]

現地説明板
『日本歴史地名大系 22 静岡県の地名』平凡社、2000年。ISBN 4582490220。「国分寺」、「菩提樹院跡」、「宮内村」、「片山廃寺」
中世諸国一宮制研究会編『中世諸国一宮制の基礎的研究』岩田書院、2000年。ISBN 978-4872941708。
『ふちゅ～る No. 21（平成23年度 静岡市文化財年報）』静岡市教育委員会、2013年。

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