骨法 (格闘技)

骨法とは

骨法（こっぽう）とは、一般的に当身技を主体とする徒手武術とされています。しかし、その起源や伝承については複数の説が存在し、特に堀辺正史氏の系統が主張する日本固有説は、他の流派とは一線を画しています。

骨法の伝承

骨法の伝承は、大きく分けて2つの系統に分類できます。

中国起源説

多くの骨法流派（玉虎流、虎倒流、古代骨法体術源流天心流など）は、その起源を中国[[武術]]に求めています。これらの流派は、骨法が日本の伝統的な徒手武術である柔術などの異称の一つである可能性も否定していません。

一方、堀辺正史氏は、著書『喧嘩芸骨法』の中で、骨法が唐の僧・鑑真から伝わった中国拳法であるという説は、藤原仲麻呂によって捏造されたものだと主張しています。さらに、堀辺家には藤原仲麻呂と志賀清林を同一人物とする口伝があったと述べていますが、堀辺自身もこの説には懐疑的です。

別の中国起源説では、中国の姚玉虎から始まり、張武勝が日本に伝えたとされています。

日本固有説

この説は、現在のところ堀辺正史氏の系統のみが主張しています。堀辺氏によれば、骨法は柔術などの日本の伝統的な徒手武術とは全く異なる独自の武術であり、その起源は奈良時代の武人、大伴古麻呂に遡るとされています。

堀辺氏は、野見宿禰と当麻蹴速の対決が、現在の相撲とは異なり、激しい蹴り合いであったことを、古代日本に拳法が存在した証拠としています。また、奈良時代の神亀3年に志賀清林によって「突く・殴る・蹴る」の三手が禁じられたとされ、これは一般的に古代の相撲の異称とされる「手乞」は、禁じ手制定以前の骨法の呼称であると主張しています。

堀辺氏は、純粋な武術を「手乞」、武術を応用した医療行為を「骨法」と区別する主張も展開しています。

さらに、藤原宗忠の日記『中右記』に記された源義家の家臣・大宅光房への批評についても、従来は「相撲が強いと言われているが、もっと基本を身に付けなければ」と解釈されてきたものを、堀辺氏は「相撲は強いが、もっと骨法を身につけるべきだ」という骨法という武術の存在を証明する記述であると主張しています。

また、堀辺氏によれば、源義光（源義家の弟）が衰退していた骨法を復興し、その子孫に一子相伝で継承され、現在に至るとされています。堀辺家は源義光の末裔であると称し、堀辺家に伝わる骨法を司家骨法と呼んでいます。

堀辺氏は、伝承された技をより実戦的に改良し、自ら流派の創始者と名乗っています。当初は家伝の武術を「換骨術」と称し、後に「換骨拳」を経て「骨法」に改称しました。

堀辺氏によると、大伴古麻呂は「徹し（とおし）」と呼ばれる秘技を用いていたとされ、これは中国拳法の浸透勁に似たものですが、古麻呂以後失伝しており、堀辺正史氏が現代に蘇らせたと主張しています。

骨法を称する他の流派

堀辺正史氏の系統とは無関係な骨法を称する流派も存在します。以下に主なものを挙げます。

古代骨法体術源流天心流
九鬼神伝流
神道殺活流
無刀骨法流 - 戦国時代の秋元則正を流祖とする流派。
虎倒流 - 玉虎流骨指術から分流した流派で、安土桃山時代の戸田左京一心斎が流祖とされる。
義鑑流
雲隠流
玉心流
出雲流
武風流 - 虎倒流から派生した昭和に開かれた流派。骨法、柔術、棒術などを含む。流祖は神道天心流を学んだ竹内信義とされる。
武田流
玉虎流 - 安土桃山時代の戸田左京一心斎が創始した徒手武術。総合武術としての側面を持つ。
小川流
竹内流 - 技の一つに「屏風倒し」という逆回し蹴りに似た技がある。
讃岐流
水府流
* 備前流

まとめ

骨法は、その定義や起源、伝承において複数の解釈が存在する複雑な武術です。特に堀辺正史氏の系統が主張する日本固有説は、他の流派とは異なる独自の視点を提供しており、骨法の歴史を理解する上で重要な要素となっています。骨法の研究は、日本の武術史をより深く理解するための鍵となるでしょう。

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