高千穂 (防護巡洋艦)

高千穂（たかちほ） - 日本海軍の二等巡洋艦

高千穂は、日本海軍に所属する二等巡洋艦で、防護巡洋艦の一種です。その名は、宮崎県の高千穂峰に由来し、天孫降臨の地ともされる神聖な場所を示しています。艦は1886年に竣工し、長い年月にわたって日本の軍事的役割を担いました。

建造と初期の運用

高千穂は1884年にイギリスのアームストロング社にて起工され、1885年に進水。初めて日本に到着したのは1886年7月で、当時の天皇や皇后と共に横浜港での行幸が記されています。1890年には天皇の御召艦としても使用され、陸海軍連合大演習に参加しました。

ハワイ派遣と日清戦争

1894年には、ハワイでの邦人保護のためにホノルルへ派遣され、その後の日清戦争では重要な戦闘を経験します。特に黄海海戦や旅順、澎湖島の攻略作戦に参加したことは、高千穂の名声を高めました。

義和団の乱と日露戦争

1900年には義和団の乱で廈門の警備に従事し、その後の日露戦争でも重要な役割を果たしました。特に日本海海戦では、バルチック艦隊との交戦によって戦闘の歴史に名を刻みました。この戦いでも高千穂は損害を受けることはありませんでしたが、それは艦が戦場での運用経験と信頼性を得る一助となったと言えるでしょう。

艦の変遷

高千穂はその後、1912年に艦艇類別改訂により二等海防艦に変更されました。旧式化が進む中でも、海軍水雷学校の練習艦として再利用されることが決定されます。1914年には、日本の領土を守るために福徳岡ノ場での噴火調査に派遣されるなど、艦としての役割は多岐にわたりました。

第一次世界大戦における運命

1914年に第一次世界大戦が勃発すると、高千穂は第二艦隊に編入され、颯爽とした戦艦としての役割が期待されました。しかし、老朽化により速度が出せず、同年10月には膠州湾でドイツの水雷艇SMS-S90による魚雷攻撃を受け、沈没する運命を辿ります。この事件では、艦長を含む271名が戦死し、当時の日本海軍にとって悲劇的な出来事として記録されました。

まとめ

高千穂は、日本海軍の艦艇の中でも特異な地位を占める存在でした。敵との交戦で撃沈された初めての艦として、その名前は海軍史に刻まれています。艦の歴史は、当時の日本の戦争の実態や、国家としての水準の向上を示しており、今なお日本の海軍史の中で重要な位置を占めています。

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