高木作之

高木作之：激動の時代を駆け抜けた軍人

高木作之（たかぎ さくゆき）は、1912年（明治45年）に愛知県で生まれ、2003年（平成15年）に90歳で亡くなった日本の陸軍軍人、そして航空自衛官です。最終階級は陸軍中佐、航空自衛隊では空将にまで昇りつめました。

生い立ちと陸軍入隊

高木は、農家の次男として生を受け、愛知県明倫中学校を経て、陸軍士官学校に入校しました。1933年（昭和8年）には陸軍士官学校を卒業。騎兵科に所属し、同期の中でも特に優秀な成績を収めました。卒業後は、騎兵少尉として第3師団に配属されました。同期には、太平洋戦争で活躍した田中兼五郎、井田正孝、椎崎二郎などがいます。

騎兵から航空へ

1938年（昭和13年）には騎兵大尉に昇進。その後、陸軍大学校に入学し、在学中に航空兵科へ転科しました。1940年（昭和15年）には陸軍大学校を首席で卒業。御前講義の栄誉にも浴しました。卒業後は飛行第27戦隊に配属され、陸軍大学校に特設された航空学生として、南方作戦を想定した兵棋演習に参加しています。

太平洋戦争と参謀本部

1941年（昭和16年）7月、高木は参謀本部作戦課に配属され、太平洋戦争開戦を迎えます。当時、作戦課では、瀬島龍三中佐が対ソ作戦を担当しており、高木は主に書類の整理などの庶務を担当していました。瀬島は戦後、自身が開戦前は部附将校だったと証言しましたが、高木はこれを否定。瀬島が当時から重要な役割を担っていたと証言しています。

1942年（昭和17年）には、杉山元参謀総長の南方占領地域視察に随行。その後、第5飛行集団、第6飛行師団、第4航空軍、大本営陸軍部、第1航空軍と、前線と中央を行き来し、様々な部隊を経験しました。1945年（昭和20年）には、中佐に昇進。終戦時には、陸軍省人事局で同期中の序列が5番であったとされています。

戦後の航空自衛隊

終戦後、高木は航空自衛隊に入隊し、2等空佐に任官。その後、航空集団司令部装備部長、第2補給処長、統合幕僚会議事務局第5幕僚室長、航空幕僚監部防衛部長、術科教育本部長、補給統制処長などを歴任し、1969年（昭和44年）に空将で退官しました。航空自衛隊の発展に大きく貢献した人物でもあります。

晩年

高木は、退官後も自身の経験を語り継ぎ、その証言は歴史の重要な一面を照らし出しています。2003年（平成15年）に90歳で亡くなるまで、激動の時代を生き抜いた軍人としての誇りを持ち続けました。

年譜

1912年（明治45年）：愛知県で生まれる。
1933年（昭和8年）：陸軍士官学校本科卒業、騎兵少尉に任官。
1938年（昭和13年）：騎兵大尉に昇進、陸軍大学校入学。
1940年（昭和15年）：陸軍大学校卒業、航空兵科へ転科。
1941年（昭和16年）：参謀本部作戦課配属、少佐に昇進。
1945年（昭和20年）：中佐に昇進。
1954年（昭和29年）：航空自衛隊に入隊、2等空佐に任官。
1969年（昭和44年）：航空自衛隊を空将で退官。
2003年（平成15年）：逝去。

主な参考文献

高木作之著「開戦前後の陸軍航空」
外山操著「参謀本部・軍令部職員名簿」
財団法人偕行社「財団法人偕行社社員名簿（昭和10年11月下旬調）」
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』
共同通信社社会部編『沈黙のファイル』

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