高木場御坊

高木場御坊の歴史

高木場御坊（たかきばごぼう）は、かつて富山県南砺市南蟹谷に位置した坊舎です。この寺院は、本願寺第8代の蓮如の孫である実玄が住まい、越中一向一揆の指導者として多くの人々に知られていました。しかし、1519年にこの坊舎が炎上したことを受けて、実玄は安養寺へと移転しました。安養寺はその後、伏木古国府に移り現在の雲龍山勝興寺として知られています。

前史

高木場御坊の前身は、南砺市土山に位置する土山御坊です。この土山御坊は、如乗（本願寺6世の巧如の次男）の妻である勝如尼の開基とされており、また、蓮如の次男である蓮乗によっても開基されたという伝説があります。蓮乗は北陸での教えの広がりに貢献し、一時は井波瑞泉寺、若松本泉寺、土山御坊の3つの寺院を管轄しました。しかし、健康上の理由からそれぞれの寺院を兄弟に引き継ぐことになります。

土山御坊は、蓮如の4男である蓮誓が後を継ぐことになり、文明11年（1480年）には土山御坊に入りました。彼は、文明13年（1482年）の田屋川原の戦いで大きな勝利を収め、その後中田坊（現高岡市中田地域）を設立するに至ります。また、蓮誓は正親町持季の娘と結婚し、文明14年（1483年）には長男が誕生しています。しかし、1488年に発生した一揆により、加賀国の真宗寺院は勢力を増し、北陸の指導権が蓮誓から他の寺院へと移っていくこととなります。最終的に、蓮誓は加賀国の山田光教寺に移住し、その影響で土山御坊から高木場御坊へと移転することになります。

創建

高木場御坊を治めた勝興寺の実玄は文明18年（1486年）に生まれましたが、実玄の誕生と同時期に蓮誓が加賀の山田光教寺に移ってしまいました。その結果、蓮誓は土山御坊を実玄に委ねることになり、寺基を高木場へと移すこととなりました。『塵拾鈔』によれば、土山が霧深い場所であったことから高窪への移転が決定されたとされています。

高木場御坊への移転は明応3年（1494年）とされていますが、研究者の中にはそれ以前に実玄が高木場に着いたと考える人もいます。1505年、蓮如の7回忌法要の際には、蓮誓が実玄のために本尊などを下付するように働きかけ、それが実現したと記録されています。

炎上・移転

しかし、永正16年（1519年）に高木場御坊は兵火に見舞われ炎上します。この炎上の背後には、長尾為景の越中侵攻があったのではないかとされており、実際にこの年には長尾が神保慶宗を包囲していたことが記録されています。高木場御坊の炎上により、実玄は安養寺へと移住することとなり、その後安養寺はさらに発展を遂げていくことになります。

現在

高木場御坊の跡地は現在、高窪集落として知られています。この地域は加賀藩による統治を受けながらも、現代に至っています。2018年には、ここに「高木場御坊」の跡地を示す看板が設置され、地域住民の手によってその歴史が継承されています。

高木場御坊に関連する歴史的な出来事は多く、彼の地は単なる宗教施設ではなく、地域の歴史と文化に深く根付いています。

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