高木広一

高木広一：戦後日本の外交を支えた知られざる功労者

高木広一（たかぎ ひろいち）は、1908年8月に生まれ、1980年3月10日に生涯を閉じた日本の外交官です。彼は、外務省において初代賠償部長、移住局長を歴任し、駐デンマーク特命全権大使、駐ギリシャ特命全権大使を務めるなど、そのキャリアを通して日本の国際社会における地位向上に大きく貢献しました。

生い立ちと学歴

高木は京都で生まれ、大阪の伴野商店での勤務を経て、京都市立第一商業学校（現在の京都市立西京高等学校）に進学しました。その後、名古屋高等商業学校（現在の名古屋大学経済学部）を卒業し、東京商科大学（現在の一橋大学）に進みます。しかし、1933年に高等試験外交科に合格したことを機に、1934年に大学を中退し、外務省に入省するという異例の経歴の持ち主でした。

外務省でのキャリア

外務省入省後、高木は通商産業省にも籍を置き、輸入第三課長、輸入第二課長、輸出課長を歴任しました。1952年には、ブエノスアイレスの日本政府在外事務所所長として赴任し、その後、在アルゼンチン日本国大使館臨時代理大使も務めました。1955年には外務省に戻り、アジア局臨時賠償室長、そして初代賠償部長として、戦後日本の賠償問題に取り組みました。

1957年には在ジャカルタ日本国総領事館総領事に任命され、インドネシアとの関係強化に努めます。1958年には在インドネシア日本国大使館臨時代理大使を務めました。1959年には外務省大臣官房審議官に就任し、同年には外務省移住局長として、戦後の海外移住政策を主導しました。

1963年、高木は特命全権大使としてデンマークに駐箚し、その後、1965年にはパキスタン、1967年にはギリシャに特命全権大使として赴任しました。これらの国々との外交関係強化に尽力し、国際社会における日本のプレゼンスを高めることに貢献しました。

その他の活動と晩年

外交官としての職務を終えた後も、高木は1973年に海外移住審議会委員を務めるなど、海外移住問題への関与を続けました。また、丸紅参与、海外経済協力基金理事としても活躍し、日本の経済発展に寄与しました。1980年には叙従三位の栄誉に浴しています。

高木広一は、その卓越した外交手腕と多岐にわたる活動を通じて、戦後日本の復興と国際社会における地位向上に大きく貢献した人物として、記憶されるべきでしょう。

著書

高木は『最近の海外移住事情』（ラテン・アメリカ協会、1960年）を著しており、その専門知識と見識を後世に伝えています。

高木広一の足跡は、激動の時代を生き抜き、日本の国際社会におけるプレゼンスを高めることに貢献した外交官の模範として、今後も語り継がれることでしょう。

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