高木新平

高木新平：映画界を彩った異才の俳優、監督、プロデューサー

高木新平（たかぎ しんぺい）は、1902年11月3日に生まれ、1967年4月21日に没した、日本の映画界で多岐にわたる才能を発揮した人物です。俳優としてだけでなく、映画監督、映画プロデューサーとしても活躍し、その初期には片岡慶左衛門（かたおか けいざえもん）、片岡慶三郎（かたおか けいさぶろう）という名義でも活動していました。本名は高木慶吉（たかぎ けいきち）です。

生い立ちと初期のキャリア

高木新平は長野県下諏訪町で生まれ、神田英語学校を卒業後、1920年にマキノ俳優養成所に入所し、映画界の巨匠である牧野省三に師事しました。1923年6月には、片岡慶左衛門、片岡慶三郎の名で映画に出演を開始。1925年に牧野が東亜キネマから独立した後も、彼は東亜キネマに残留しました。同年には、女優の生野初子と結婚しています。

独立とマキノ・プロダクションへの再入社

1927年、高木新平は独立し、吉田山麓に高木新平プロダクションを設立。監督業にも挑戦しましたが、翌1928年にはマキノ・プロダクションに再入社しました。牧野の没後、1930年に帝国キネマ演芸に移籍し、1933年には宝塚キネマ、1935年にはエトナ映画社へと活動の場を移しましたが、同年以降、第二次世界大戦終結まで出演の記録が途絶えています。また、1935年には妻の生野初子と離婚しました。

戦後の復帰と黒澤作品への出演

戦時中は近衛連隊に所属していた高木新平は、戦後の1949年に東横映画に出演し映画界に復帰。しかし、1950年以降、再び活動が途絶えます。1954年、彼は黒澤明監督の不朽の名作『七人の侍』に出演し、1957年には同じく黒澤監督の『蜘蛛巣城』にも出演しました。その後、新東宝の映画にも出演し、1961年には再び黒澤明監督の『用心棒』に出演するなど、晩年まで精力的に活動しました。

『月光仮面』と特撮への貢献

1958年のテレビ番組『月光仮面』では、高木新平は怪獣「マンモスコング」のぬいぐるみを制作し、自らその中に入ってマンモスコングを演じました。このことは、彼の多才さを示すエピソードとして知られています。

晩年と死

1966年には、NHK大河ドラマ『源義経』に出演。その翌年、1967年4月21日に病気のため死去しました。享年64歳でした。

主なフィルモグラフィー

高木新平は数多くの映画に出演しました。以下に主な作品を挙げます。

『小雀峠』（1923年）
『快傑鷹』（1924年）
『七人の侍』（1954年）
『蜘蛛巣城』（1957年）
* 『用心棒』（1961年）

また、造型・メイクの分野でも才能を発揮し、『妖蛇荘の魔王』（1959年）などを手掛けました。

高木新平は、その軽妙な身のこなしから「鳥人」とも呼ばれ、映画界に独自の足跡を残しました。俳優、監督、プロデューサーとして、また特撮の世界でも才能を発揮した彼の功績は、これからも語り継がれていくでしょう。

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