高木正弼

高木 正弼（たかぎ まさのり）の生涯

高木正弼は江戸時代中期に活動した大名で、河内国丹南藩の第8代藩主として知られています。彼は、官位においては従五位下・主水正に叙任されました。その生涯には、家族関係や藩主としての役割、特に農民との摩擦や騒動など、多くの興味深い出来事が含まれています。

家族背景と藩主就任

高木正弼は、7代藩主である高木正恒の長男として生まれました。彼の母は松平忠暁の娘であり、幼少期は「熊次郎」と呼ばれていました。後に「主水」と名乗ることになります。正弼の結婚相手は鳥居忠意の娘で、子供には高木正直がいます。

寛保3年（1743年）7月25日、父・正恒が亡くなったことで、高木正弼は家督を相続しました。彼は新しい藩主として、藩の運営に取り組むことになります。その後、宝暦7年（1757年）3月1日には9代将軍・徳川家重に御目見を果たし、同年12月には官位を叙任されました。

政治的な動きと領地の変遷

宝暦8年（1758年）10月21日には、丹南郡の一部が丹北郡と志紀郡に移転され、領地の変遷がありました。これに伴い、彼は藩の政治的状況を注意深く見守り、内部の安定に努めました。明和元年（1764年）9月15日には大番頭に就任することになり、藩の重要な役職を担います。

農民との関係と騒動

しかし、明和6年（1769年）には、領内の丹南郡、丹北郡、志紀郡で不作が続き、農民たちは借金や配給米を求めるようになりました。江戸に住む高木正弼はこれを却下し、農民たちとの関係は緊張を生じさせました。全村の庄屋22名と農民たちは、年貢の納入を拒否し、これが「郷中騒動」と呼ばれる一連の抗議活動に発展したのです。

この騒動は、安永元年（1772年）11月21日に幕府の注意を引き、結果として高木正弼の出仕が停止されることとなりました。これにより、彼の権威は大きく揺らぎ、藩主としての地位は厳しい状況に見舞われました。

死去と後継

安永9年（1780年）9月27日、高木正弼は40歳という若さでこの世を去ります。彼の死は藩にとって大きな痛手であり、後継者としては正直が育てられました。正弼の法号は「泰了院」とされ、彼の墓所は東京都杉並区永福の栖岸院にあります。彼の生涯は、当時の政治や農民との関係を象徴する出来事が詰まっており、江戸時代中期の大名の苦悩や努力を物語っています。

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