高木道之助

高木 道之助（たかぎ みちのすけ）

高木道之助は、江戸時代の長崎における重要な地役人であり、長崎代官高木家の三男として知られる。彼は別名「忠大」とも呼ばれ、長崎市の桜馬場にその屋敷を構えていた。道之助の生涯は、特に砲術における彼の業績が評価されている。さまざまな歴史的事件が背景にあり、彼の活動は長崎の警備や安全に大きな影響を与えた。

略歴

道之助の活動が注目を集めるきっかけは、文化5年（1808年）に発生したフェートン号事件である。この事件を契機に、長崎の警備体制は見直しを迫られた。そして、町年寄の薬師寺久左衛門が砲術の専門家として加増され、鉄砲方が設立された結果、道之助は警備役に任命された。この制度に基づき、地役人たちは「兎狩（うさぎがり）」と呼ばれる軍事演習を年2回実施するようになった。

オランダ商館のフィッセルは、道之助が80斤（約5キログラム）の自在砲を担ぎ、見事に発射する姿を目撃し、その優れた体力に驚嘆の声をあげた。道之助は、このようにして自らの役割に誇りを持って取り組んでいたのだ。

文化6年（1809年）3月には、実際に砲術の試し打ちを実施したが、その中で不幸な事故が起きた。演習に参加していた唐人番の一人が、着衣に火がついて火傷を負ってしまったのだ。彼は蘭方医の治療を受けたものの、破傷風を併発し、わずか20日あまりで命を落とすという悲劇が発生した。この出来事は、火器の取り扱いに関する注意の重要性を再認識させるものとなった。

同じ年、道之助はオランダ船が来航した際、その船上での大砲の操作を視察する機会を得る。文政2年（1819年）9月晦日には、長崎鉄砲方に任命され、新たに別家を立てることとなる。鉄砲方に就任した道之助は、オランダ人との交流を活発に行い、火器や砲術について質問を投げかけるなど、知識の向上に努めた。

その後、文政4年（1821年）には江戸に赴き、砲術の上覧を受けることになる。彼のさまざまな活動は、長崎における警備体制の整備や砲術の普及に貢献し、その時代の地役人としての役割を果たしたと言える。道之助の成果は江戸時代の長崎の基盤を形成する一因となり、今後の日本の発展にも寄与することとなった。

参考文献

• - 『天領長崎秘録』 - 簱先好紀著、長崎文献社
• - 『長崎地役人総覧』 - 簱先好紀著、長崎文献社
• - 『文明開化は長崎から』下巻 - 広瀬隆、集英社
• - 『開国前夜の世界』 - 横山伊徳著、吉川弘文館
• - 『長崎県の地名 日本歴史地名大系43』 - 平凡社

道之助のような地役人は、当時の長崎攻略だけでなく、火器技術の進歩にも貢献し、その影響は今なお評価されている。

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