高松琴平電気鉄道長尾線

高松琴平電気鉄道長尾線

長尾線は、香川県高松市の瓦町駅とさぬき市の長尾駅を結ぶ、高松琴平電気鉄道（ことでん）の鉄道路線です。ラインカラーは緑色で、かつては茶色地の行先表示板が使用されていました。

概要

終点の長尾駅近くには四国八十八箇所霊場の長尾寺があり、参拝路線としての性格も有していましたが、現在は高松の郊外路線として機能しています。ほぼ全線にわたり、長尾街道（香川県道10号高松長尾大内線旧道）が並行しています。

路線データ

路線距離（営業キロ）：14.6km
軌間：1435mm
駅数：16駅（起終点駅含む）
複線区間：なし（全線単線）
電化区間：全線（直流1500V）
保安設備：琴電形ATS
閉塞方式：自動閉塞式
最高速度：60km/h
車両基地：仏生山車両所（最寄駅：琴平線仏生山駅）
最大連結車両数：2両編成
IC乗車カード対応：IruCaエリア全線（全国相互利用サービス対応交通系ICカードも利用可能）

運行形態

普通列車が主体で、平日朝ラッシュ時には瓦町駅始発の下り列車が1本運行されますが、その他は琴平線（築港線）瓦町 - 高松築港駅まで乗り入れます。運行間隔は朝夕が約12分、昼間が約24分です。築港線区間のみを走行する列車も長尾線の車両を使用するため、長尾線扱いとなります。平日の朝には高松築港発平木行きと平木発高松築港行きも運行されます。

2023年3月18日のダイヤ改正で、瓦町 - 長尾間は終日全列車ワンマン運転となりましたが、瓦町 - 高松築港間は従来通り車掌が乗務します。

歴史

1912年（明治45年）4月30日：出晴（現在の瓦町駅志度線口付近） - 長尾間が開業（軌間1067mm）。
1943年（昭和18年）11月1日：讃岐電鉄、琴平電鉄、高松電気軌道が合併し、高松琴平電気鉄道が発足。
1945年（昭和20年）6月26日：高田 - 長尾間の軌間を1435mmに改軌。市内線への乗り入れを開始。
1976年（昭和51年）12月26日：全線の架線電圧を600Vから1500Vに昇圧。
2002年（平成14年）9月28日：学園通り駅が開業。
2006年（平成18年）7月3日：大型車の運用を開始（1200形）。
2007年（平成19年）7月31日：旧型車の淘汰を完了し、冷房化率100%を達成。
2023年（令和5年）3月18日：瓦町 - 長尾間で終日全列車ワンマン運転を開始。

駅一覧

長尾線の駅は全て香川県内にあります。高松築港駅からの営業キロが記載されています。

高松築港駅
瓦町駅
花園駅
林道駅
木太東口駅
農学部前駅
公文明駅
井戸駅
高田駅
挿頭丘駅
学園通り駅
白山駅
平木駅
西前田駅
水田駅
長尾駅

建設当初から複線化が考慮されており、用地が確保されています。交換設備がない駅や、水田駅付近の高架用地、花園駅-瓦町駅間の留置線などは、この複線化用地を利用しています。

車両

2011年8月現在、旅客車10編成20両が所属しており、全て2両固定編成です。琴平線車両と予備車を共有しているため、琴平線車両が長尾線内で使用されることもあります。

600形（0番台）：元名古屋市営地下鉄車両
1200形（50番台）：元京浜急行電鉄車両
1200形（0番台）：元琴平線車両
1300形：元京急車両

長尾線には車両基地がなく、所属車両は仏生山工場に所属しています。そのため、ラッシュ時には瓦町 - 仏生山間を回送列車として走行します。

大型車乗り入れの経緯

長尾線は開業当初、軌道線として設計されたため、橋梁の重量制限とカーブの制限が厳しく、大型車の導入が困難でした。しかし、路線の改良や車両の軽量化により、徐々に大型車の導入が進められ、2006年には長尾線用の1200形が投入され、大型車の運行が開始されました。これにより、長尾線の冷房化率が向上し、利便性が向上しました。

高松電気軌道時代の車両

高松電気軌道時代には、梅鉢鉄工所製の木製単車を所有していました。電車の出力が弱く、川島口付近の坂では乗客が電車を押すこともあったそうです。

新駅設置計画

「ことでん活性化協議会」が花園駅 - 林道駅間への新駅設置案を示していますが、高松琴平電気鉄道は費用の問題から単独での実施は困難としています。

参考文献

大島一朗『ことでん長尾線のレトロ電車』JTBパブリッシング、2006年
* 今尾恵介監修『日本鉄道旅行地図帳 11号中国四国』新潮社、2009年

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